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樹木シリーズ116 イソツツジ

  • 高層湿原に群生するイソツツジ(磯躑躅、ツツジ科)

     亜高山帯~高山帯の湿原などに群生する常緑小低木。花は白色、手まり状に集まって美しい。ただし、花の蜜は毒性が強いので注意。他の植物が生えないような酸性土壌(酸性湿原や噴気孔近くの裸地)によく生育する。昔は、葉の裏の毛に重点をおいて、イソツツジ、エゾイソツツジ、カバフトイソツツジと分類していたが、現在はイソツツジに一本化している。東北地方から北海道、シベリア東部に分布。 
  • 名前の由来・・・漢字で「磯躑躅」と書くが、磯は海岸なので、エゾツツジが誤って伝えられたのではないかと言われている。別名エゾイソツツジとも呼ばれている。
  • 県内の生育地・・・八幡平や駒ヶ岳、栗駒山などの高山の酸性湿原、噴気孔近くの裸地。(写真:八幡平大沼森林セラピーロード)
  • 花期・・・6~7月、高さ30~50cm、時に1mに達する。 
  • 基部から分枝し、若枝は赤褐色の毛が密生する。 
  • ・・・披針形で厚い革質、表面に毛が生える。縁は全縁で裏面に巻く。葉の裏面には毛がある。葉を軽くもむと、良い香りがするらしい。
  • ・・・枝先に短い総状花序を出し、白色の花を手まり状に多数開く。 
  • 花弁、雄しべ、雌しべ・・・花弁は5個、雄しべは10個、中心に雌しべは1個。子房は楕円形で白毛と腺毛が密生する。
  • 花は有毒、注意!・・・花の蜜が有毒で、その毒性は強く、死に至る場合もあるという。だから養蜂業者は、イソツツジが自生している場所を避けるという。 
  • レンゲツツジとイソツツジの群落 ・・・初夏の湿原を彩るレンゲツツジとイソツツジの群落が満開を迎えると、極楽浄土のような美しい花園になる。しかし、花はいずれもシカやウシも食べないほど毒性が強いので注意!
  • 花が美しいので誰しもカメラを向けたくなる(写真:2015年6月19日、八幡平大沼)。この美しい花と心地よい香りは、アロマテラピーの効果を発揮する。しかし、長時間滞在すると頭痛や目まいを感じる人もいるという。
  • ワタスゲとイソツツジ
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社) 
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の高山植物」(山と渓谷社)