樹木シリーズ⑬ ユキヤナギ
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- 雪をかぶったように咲き乱れるユキヤナギ(雪柳、バラ科)
サクラが咲く頃、ユキヤナギがまるで雪でもかぶっているように咲き乱れる。地面に散りゆく様も美しく、庭や公園に植えられる園芸植物として名高い。野生のユキヤナギは、関東地方以西に分布し、増水時に完全に水没するような川岸の岸壁や大岩の割れ目に自生する。白くしだれ咲く細身の体は、濁流に耐える、しなやかさと強さが秘められているという。
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- 名前の由来・・・枝のしなやかさや葉がヤナギに似て、多数の花が雪を思わせることから、「雪柳」と書く。ただし、ヤナギ科ではなくバラ科である。五枚の花弁がバラバラに散り、小米をばらまいたように見えることから、別名コゴメバナ(小米花)と呼ばれている。
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- 花アップ・・・葉とほぼ同時に開花し、花径8~10mmの5弁花をつける。「こぼれねば花とはなれず雪やなぎ」(加藤楸邨)のように、こまやかな花びらをハラハラとこぼし、地面に散り敷く様も美しい。
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- 庭木や公園樹は、シダレヤナギのように垂れた細い枝にびっしりと白い花が咲き、まるで雪が降り積もったかのように美しい。
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- 適応進化・・・柳に似た細い葉やしなやかな枝は、増水時に水の抵抗が少なく、激流に耐えて生き抜いてきた適応進化の証でもある。根は丈夫で、しっかりと岩の割れ目に入り込んで生き長らえる。
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- 葉・・・互生し、狭い披針形で先は鋭く尖り、縁に鋭い鋸歯がある。
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- 実・・・花後すぐに星形の小さな実が熟し、微細な種子が風に舞う。これも雨の季節を迎える前に岩の狭い割れ目に入り込んで芽を出す巧みな戦略だという。
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- 俳句
雪柳雪より白し雪崩をり 寺本光堂
真白なる無垢こそ愛し雪柳 西崎佐知
生垣を白くふちどり雪柳 橘川 重
咲き満ちて夜目にも白き雪柳 山田和江
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参 考 文 献 |
「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社) |