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樹木シリーズ131 オクチョウジザクラ

  • 里山に自生するサクラで、一番早く咲くオクチョウジザクラ(奥丁字桜、バラ科)

     日本海側の多雪地帯に分布し、チョウジザクラによく似ているが、全体に毛が少なく、葉柄が長いのが特徴。里山に自生するサクラ。サクラの仲間では一番早く咲くので、メジロが待ちに待った花蜜を吸うためにいち早くやってくる。多雪地に生えるので、根元は冬期の雪の重みで曲がっている場合が多い。ちなみに秋田に自生するサクラは、ミネザクラ(タカネザクラ)、チシマザクラ、オオヤマザクラ、ミヤマザクラ、オクチョウジザクラ、カスミザクラ、ウワミズザクラ。
  • 名前の由来・・・花を横から見ると、開き方が漢字の「丁」のように見えることから、「丁字桜」。その変種で、日本海側の多雪地帯・奥地に自生することから、「奥丁字桜」と書く。 
  • 花期・・・4~5月、高さ5~10m
  • ・・・散形花序に1~3個下向きにつき、白色から淡い紅色の5弁花。花弁は雄しべより長い。 
  • 雄しべ・・・約25個で、花柱はふつう無毛。 
  • ・・・倒卵形で、葉柄ともに褐色の軟毛が密生する。先は尾状に長く尖り、縁に欠刻状の重鋸歯がある。
  • 果実・・・花が散った後、ほどなく緑色の球形の果実ができる。熟すと紅紫黒色になり、甘みがある。
  • 春告桜・・・里山に自生するサクラで、マンサクの花が終わる頃、里桜に先駆けて花を咲かせることから、雪国に春の訪れる告げる桜でもある。 
  • ソメイヨシノのような派手さはなく、むしろつつましく控え目に咲くところが愛でられる。 
  • 春一番、チョウジザクラの花蜜を吸うメジロ 
  • オクチョウジザクラとメジロ(樹木見本園)・・・樹木見本園のチョウジザクラは、サクラの仲間では一番早く咲く。案の定、メジロが群がって花蜜を吸っていた。 
  • 参考:ソメイヨシノとメジロの撮影・・・花のボリュームが圧倒的に多いので、花の蜜を吸うメジロが埋没して、主役は桜の花に奪われてしまう。さらに緑の葉を出し始めると、黄緑のメジロは保護色の役目を果たすため、メジロがどこにいるのかよく分からないような写真しか撮れない。
  • オクチョウジザクラは、花の数が少ないのでメジロは丸見え。従ってメジロを主役にサクラを撮るにはベストな花である。ただし、それだけ警戒心も強くなるので、接近するのが難しいという難点がある。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)