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樹木シリーズ135 キンシバイ

  • 梅に似た黄金色の花を咲かせるキンシバイ(金糸梅、オトギリソウ科)

     中国原産の半常緑低木で、日本には1760年に渡来。古くから観賞用として庭や公園に植えられ、人家付近の湿った崖などで野生化しているものもある。濃い緑色の葉と黄金色の花のコントラストが美しく、切り花や華道の花材に良く利用されている。花も葉も大きい園芸品種「タイリンキンシバイ(大輪金糸梅)」もあるが、ここでは区別せずに記す。
  • 名前の由来・・・花びらの形が梅に似ていて、たくさんの雄しべがまるで金糸の束のようになっていることから、中国名で「金糸梅」。それを音読みして、「キンシバイ」と呼ばれている。 
  • 別名ピペリカム・・・別名ヒペリカムと呼ぶことがある。その名は、オトギリソウ属のラテン名で、悪魔よけの像の上に置くなど、ヒペリカムは魔女除けや悪魔除けに使われた。 
  • 花期・・・6~7月、高さ1m
  • 樹形・・・株立ち状によく枝分かれして、高さは約1m。枝は垂れ下がるようにゆるやかに弧を描いて伸びる。
  • ・・・赤いことが多い。 
  • ・・・葉柄はほとんどなく対生。やや幅の狭い卵状長楕円形で縁は全縁。裏面は、白緑色で明るい油点がある。 
  • 半常緑・・・暖かい地方では落葉しないことが多い。 
  • ・・・枝先に直径3~4cmと大きな黄金色の花を開く。花弁は5個で厚く光沢がある。両性花。
  • 花冠・・・半開きで、平らになるまで開かない。
  • 雄しべ・・・フサフサと伸びる多数の雄しべがある。60個ずつが5つの束に分かれるのが特徴。
  • 雌しべ・・・中心に1個で、先が5裂する。
  • 虫媒花・・・雄しべの花粉にやってきたミツバチ。たくさんの花粉に誘われて、多くの昆虫たちが集まってくる。
  • チョウの仲間・オオチャバネセセリ
  • 梅雨時に咲き、雨によく映える。
  • 同科のオトギリソウ(弟切草)の名の由来・・・昔、秘密の薬草を用いて鷹の傷を治すことで有名な鷹匠の兄弟がいた。ある時、弟がその薬草の名を漏らしたことに怒った兄がその弟を切り殺してしまった。その時の血しぶきがオトギリソウにかかって油点になったとされている。この平安時代の伝説にちなんで、「弟切草」と書く。花言葉も、この伝説にちなんで「秘密」「恨み」。(写真:オトギリソウの高山型「イワオトギリ」)
  • 石垣に 金糸梅咲く 在家かな 鶯 竹里
    金糸梅 水のひかりを ためらはず 六角文夫
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「図説 日本の樹木」(鈴木和夫ほか、朝倉書店)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「身近な樹木」(菱山忠三郎、主婦の友社)