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樹木シリーズ154 コクサギ

  • 葉が2枚ずつ交互につくコクサギ(小臭木、ミカン科)

     山地の沢沿いなど、やや湿った場所に生える落葉低木。クサギのように臭気がある。葉の付き方がユニークで、右右、左左・・・と2枚づつ交互につくのが特徴。キハダと同じく、葉をちぎるとミカン科特有の香りがする。葉を煎じた汁は殺虫効果がある。カラスアゲハは、この葉を独占的に食べるという。
  • コクサギを食草とするカラスアゲハ(写真:ヤブガラシの蜜を吸うカラスアゲハ)・・・山地の渓流沿いでよく見られるアゲハチョウの仲間。ハネの表は緑色の金属光沢があるが、ミヤマカラスアゲハに比べると地味。幼虫は、コクサギなどのミカン科植物の葉を食べて育つ。
  • 花期・・・4~5月、高さ1.5~3m 
  • ・・・葉が伸びきらないうちに黄緑色の花を開く。雌雄異株。 
  • ・・・倒卵形または楕円形で全体に腺点がある。表面は光沢が強く、日陰でもテカテカと目立つ。縁は全縁。独特の臭気がある。 
  • コクサギ型葉序・・・葉の配列は、枝に左左、右右、左左・・・と2枚づつ交互に並ぶ独特なもので、「コクサギ型葉序」と名付けられている。
  • カラスアゲハ、オナガアゲハの食草・・・コクサギ、サンショウ、カラスザンショウなどのミカン科植物。
  • 果実・・・2~4分果になる。分果は腎形で、熟すと2裂し、その反動で黒い種子を弾き飛ばす。
  • ・・・灰褐色で、縦の縞模様と横長の皮目が目立つ。 
  • 葉の香り・・・ミカン科の植物の葉は、油点と呼ぶ香りの貯蔵庫があり、陽に透かすと星のように明るい点が無数に見える。香りは葉に閉じ込められていて、ちぎると揮発して発生する。香り成分は精油と呼ぶ液体で、虫や動物には消化しづらいものだという。 
  • 食草の棲み分け・・・葉には、アルカロイドの毒を持っているが、それでもカラスアゲハには独占的に食べられてしまうという。一方、アゲハは、サンショウやミカンは食べるが、コクサギは食べない。同じアゲハチョウの仲間でも、種によって食草を棲み分けしていると考えられている。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「図説 日本の樹木」(鈴木和夫・福田健二、朝倉書店)
  • 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)