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樹木シリーズ157 ノブドウ

  • 食べられないブドウ・ノブドウ(野葡萄、ブドウ科)

     日当たりの良い林道沿いや荒れた藪地、都市の空き地など、至る所で見られるツル性の落葉樹。二股の巻きヒゲでほかの植物に絡みつく。葉は先が3~5裂する。果実はカラフルだが、食用にはならない。馬の関節炎などの治療や民間薬として利用されてきた。 
  • 名前の由来・・・野に生える葡萄だから、「野葡萄」と書く。 
  • 別名・・・食べられるブドウの仲間とは、房の状態も違うし、熟していく時の色が何か毒々しい。口にしても味気ない。だから「どすぶどう」「毒ぶどう」「ぶす」などと呼ばれている。 
  • 花期・・・7~8月 
  • ・・・互生し、ほぼ円形で葉先が3~5裂する。各葉ごとに対生して巻きヒゲが出る点が特徴。基部は心形で縁に鋸歯があり、表面は無毛。
  • フカギレ型・・・葉縁が深く切れ込むものをいう。
  • ・・・花序は葉と対生する。淡い緑色で小さな花を多数開く。花弁は5個で卵状三角形。雄しべは5個、雌しべは1個。
  • 果実・・・直径6~8mmの球形の液果で、緑、黄、橙、薄紅、紫、青など色とりどり。毒はないが、苦くて不味いので食用には不適。 
  • 虫えい・・・ブドウタマバエやブドウトガリバエなどの幼虫が寄生すると、実は紫色や碧色などになる。 
  • ノブドウと野鳥・・・ヒヨドリやオナガ、カワラヒワなど。 
  • 「馬ぶどう」・・・かつて農耕や木材など荷物の運搬に馬が利用されていた時代は、馬の関節炎などの治療に「野ぶどう」を湿布薬として用いられていたことから「馬ぶどう」とも呼ばれていた。現在でも馬の治療として利用されているという。 
  • 民間薬・・・「良薬は口に苦し」の諺どおり、中国の薬草学「中薬大辞典」では、毒素の分解(解毒)、血行改善、鎮痛などの作用があると記されている。古くからノブドウの実や葉、茎は、民間薬として 利用されてきた。特に脂肪肝と肝硬変の改善に役立つとされている。 
  • 斑入りノブドウ
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「植物民俗」(長澤武、法政大学出版局)