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樹木シリーズ158 アオダモ

  • 野球のバットに使われるアオダモ(モクセイ科)

     冷涼な山地に生える落葉高木。材は堅く粘り強いので野球のバットやテニスのラケット、スキー板に使われる。枝を切って水につけると、水が青くなるのが和名の由来。アオダモの仲間は、マルバアオダモ、ミヤマアオダモ、アラゲアオダモ、ヤマトアオダモ、ヤチダモ、トネリコなどがある。北海道から九州、南千島まで広く分布する。別名コバノトネリコ、アオタゴ。 
  • 見分け方・・・アオダモの鋸歯は、はっきりしているが、マルバアオダモの鋸歯は全縁あるいは微細で不明瞭な点で見分けられる。
  • 名前の由来・・・枝を切って水に入れると、殺菌性の強いクロマリン配糖体のエスクリンなどが水に溶け出し、青色の蛍光を発することに由来する。「タモ」の語源は諸説あるが、北陸地方で水田の畦のハサ掛けする木として多く植えたことから「田面(タモ)」に由来するなどの説がある。 
  • 花期・・・4~5月、高さ5~15m 
  • ・・・奇数羽状複葉で、小葉は細い楕円形で2~3対ほどある。はっきりした波形の鋸歯があり、葉先は細長く伸びる。葉裏などに毛がないものはアラゲアオダモと呼ばれる。 
  • ・・・枝先や葉腋から円錐花序を出し、小さな白い花を多数つける。花冠は4全裂し、裂片は線形。雌雄異株。
  • 樹皮・・・灰褐色~暗褐色でなめらか。樹皮を干したものを秦皮(しんぴ)と称される生薬で、消炎や下痢止め、洗眼などに用いられた。 
  • 利用・・・縦に割りやすく、粘りがあり狂いも少ないので、野球のバットやテニスのラケット、スキー板に使われる。特に硬式用の野球バットはアオダモ、軟式用はヤチダモが重宝された。その他木槌などの器具類や、生でも良く燃えるので薪に利用された。 
  • アイヌとアオダモ・・・アイヌは、アオダモの樹皮を煮出しして得た青い汁をアツシ織を青く染めるために用いた。アオダモは生木でも燃えやすいことから薪に使った。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「続・読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)