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樹木シリーズ194 トチュウ

  • 樹皮は漢方薬・医薬品、葉は杜仲茶で有名なトチュウ(杜仲、トチュウ科)

     恐竜が絶滅した氷河期に大きな打撃を受け、トチュウ目トチュウ科を構成する唯一の種が中国原産の本種で、「生きた化石」とも呼ばれている。樹皮は漢方薬の原料として使われ、若葉はお茶として利用される。枝、葉、果実を折るとゴム質の白い糸を引くのが特徴。この乳液は、天然ゴムとして利用できることから、寒冷地でも育つ天然ゴムの産出木としも知られている。
  • 名前の由来・・・昔、杜仲という人が、この木の樹皮を煎じて飲むと、活力がみなぎってきて、やがて仙人になった。以来、彼はこの秘薬を飲んでは、雲に乗って空を自由に飛び、美女との出会いを楽しんだと言われている。この秘薬をもたらす樹木は、この仙人の名前「杜仲」から名付けられた、などの説がある。 
  • 花期・・・4月、高さ10~20m 
  • 樹皮・・・褐色を帯びた灰白色。老木になるとコルク質が発達する。木を傷つけると、白い粘性の樹液が出る。昔は接着剤やゴムを得る目的に使われた。
  • ・・・長楕円形の葉が互生し、縁には重鋸歯がある。葉などを引きちぎるとゴム質の糸を引く。 
  • 森の手品・・・一枚の葉を二つに切って、片手を離しても、不思議と落ちない。それは見えないゴム質の糸でつながっているから。
  • ・・・葉と同時に若い枝の葉腋に小さな花をつける。雌雄異株。雄花、雌花とも花被はない。上の写真は雄花で、花粉を放出し始めると葯は紫色を帯びる。
  • 果実・・・扁平な長楕円形で、先端はへこみ、まわりに翼がある。 
  • 生薬「杜仲」・・・樹皮を乾燥したもので、腰痛、足腰の倦怠感解消、頻尿、肝機能・腎機能の強化、高血圧に効果があるとされている。 
  • 杜仲茶・・・葉を煎じた杜仲茶は、血圧の降下や肝機能の機能向上に効果があるとされている。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)