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樹木シリーズ200 ジンチョウゲ

  • 春の香りが漂うジンチョウゲ(沈丁花、ジンチョウゲ科)
     中国原産で日本には室町時代に渡来し、早春の花として広く親しまれている。寒さに弱いので、東北地方南部以西の庭木として植えられている。秋田での露地栽培は難しいと言われていたが、近年、比較的暖かい由利海岸地域では庭木として栽培されている。早春、手まり状に咲く花は、強い芳香を放ち、初夏のクチナシ、秋のキンモクセイと並び三大芳香花に数えられる。日本では、ほとんど結実しない。それは、雌雄異株だが、日本には雄株のみが入ったためと言われている。だから増殖は挿し木による。 
  • 名前の由来・・・花の香りを、名香である熱帯産の「沈香(じんこう)」と、香辛料のクローブを作る「丁字(ちょうじ)」に例えたのが和名の由来。 
  • 花期 3~4月 高さ1~1.5m 
  • 樹形・・・基部から密に分岐して形の良い球状の樹形になる。樹皮は暗褐色で非常に強い。 
  • ・・・互生し、枝先に集まって車輪状につく。葉の長さ5~10cmの倒披針形で縁は全縁。厚い革質で光沢がある。
  • ・・・枝先に香りのよい花を10~20個頭状につける。花には花弁がない。ガクは肉質の筒形で先が4裂して広がり、花弁のように見える。外側は紅紫色で無毛。内側は白色。 
  • ほとんど雄株・・・雄しべは8個あり、ガク筒の上部に4個ずつ上下2段につく。雌雄異株だが、形態は両性花で、雄株が多い日本でも、稀に果実をつける株があるという。 
  • 園芸品種①・・・シロバナジンチョウゲ
  • 園芸品種②・・・葉の縁に斑入りの園芸品種
  • 芳香・・・庭に一株あるだけで春の香りが漂うほど、甘くなまめかしい香りが強い。中国では別名七里香で、キンモクセイは九里香、チョウジは百里香と呼んでいる。 
  • 沈丁花いまだ咲かぬ葉がくれのくれない蕾匂ひこぼるる・・・歌人若山牧水が詠んだように、ツボミのうちから良い香りを発する。 
  • 薬用・・・元々薬用として日本に渡来したと考えられている。花を天日乾燥させて煎じ、歯痛や口内炎、のどの痛みなどに用いた。また葉を火であぶって腫れ物に用いたという。 
  • 有毒植物・・・葉や花、樹液などにダフネチンという毒成分が含まれている。皮膚に樹液がつくと、皮膚炎や水ぶくれを引き起こし、誤って口にすると胃腸障害や口中に炎症、水疱を発生させ、痛みを感じる。 
  • 挿し木で簡単に増やせる。
  • 用途・・・庭木、公園樹、鉢植え
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「読む植物図鑑vol3」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
  • 「樹木医が教える 緑化樹木事典」(誠文堂新光社)