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樹木シリーズ204 エニシダ

  • エニシダ(金雀枝、マメ科)
     春、黄金色の蝶形の花を枝垂れた枝一杯に咲かせる。日本には、延宝年間(1673~1681)、南ヨーロッパ(地中海地方)生まれの花が中国を経由して渡来し、庭や公園などによく植えられる。黄金色の花がほうき状に枝分かれして、高さ2~3mになる。 
  • 名前の由来・・・古い属名ゲニスタがオランダ語のエニスタに転じ、エニスダの名で渡来。後に呼びやすいエニシダになったと言われている。 
  • 英名・・・ブルーム=ほうき。樹形がほうきに似ているから、あるいはほうきに利用するのが名前の由来と言われている。 
  • 花期・・・5月頃 
  • ・・・前年枝の葉の脇に長さ約2cmの黄色の蝶形花を1個開く。雄しべは10個あり、下側の9個は合着する。雌しべは2.5cmと長い。ガクは鐘形で先は2裂する。花柄は約8mm。 
  • 雄しべと雌しべは翼弁と竜骨弁に包まれているが、ハナバチ類が止まると、その重みで花弁が開き、雄しべがはじけてハチを巻き込み、花粉の受け渡しをする。 
  • ・・・3出複葉。小葉は小さく倒卵形または倒披針形で全縁。若枝は緑色で稜があり、はじめ毛があるが、後に無毛。 
  • 豆果・・・長さ4~5cmの扁平な長楕円状線形で、夏に黒褐色に熟す。中には黒い種子が多数ある。 
  • やせ地でも育つ・・・マメ科特有の根粒バクテリアをもち、空中窒素を固定できるので他の植物が育ちにくい荒れ地でも生育する。さらに耐寒性もあるので植木や庭木として人気が高い。しかし、寿命は10年と意外に短いので、ある日突然枯れてなくなるので、驚く人も少なくないという。 
  • ホオベニエニシダ・・・花の一部が赤くなる観賞用の品種。
  • 別名ニシキエニシダ
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)