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樹木シリーズ206 ゲッケイジュ(月桂樹)

  • 煮込み料理のハーブとして有名なゲッケイジュ(月桂樹、クスノキ科)
     本種の葉は、カレーやシチュー、スープなどの煮込み料理の香りづけや肉の臭み消しに欠かせないハーブとして有名。葉と小枝は、丸く編んだ月桂冠がよく知られている。原産は地中海沿岸で、明治時代の1905年に渡来し、各地に植えられている。葉は主脈が明るい色で目立ち、縁は波打つ。10月頃に黒紫色に熟す無果実にも芳香がある。ハーブのほか、庭木、公園樹、薬用として利用される。 
  • 名前の由来・・・地中海原産の本種が、「Laurus nobilis」を中国語に訳して「月桂樹」になったと言われている。明治時代にフランスから日本に渡った際に、中国の「月桂樹」を日本語で「ゲッケイジュ」と音読みしたのが名前の由来。 
  • 別名ローレル(ローリエ)、ベイリーフ・・・料理に使うハーブ用の葉は、ローレル(ローリエ)、ベイリーフなどと呼ばれている。 
  • 花期・・・4~5月 
  • ・・・互生し、長さ7~10cmの長楕円形で革質。葉先は短く尖り、縁は波打つ。側脈の付け根にダニ部屋があることがある。この葉を傷つけると、さわやかな香りを放つ。 
  • 勝利や栄誉を象徴する木・・・古代ギリシャ時代から戦争の英雄やオリンピックの勝者は、枝葉で輪を作り冠として贈ったのがこの木である。今でもマラソンの勝者は月桂樹の冠(月桂冠)で祝福される。こうした習慣は、ギリシャ神話に由来する。 
  • ギリシャ神話・・・川の神の娘ダフネは、太陽の神アポロから求愛された。エロスは、アポロから愚弄され恨んでいたので、アポロを射るとともに、ダフネの胸も射た。アポロは、ダフネへの思慕にかられ、逃げるダフネを追った。ダフネは、恐怖の余りゲッケイジュに変身して身を守った。これを知ったアポロは、後悔から枝で冠をつくり彼女を追想したという。以来、芸術や武術の達人にちなんで、優秀な人の頭にこの枝を飾る習慣ができたと伝えられる。 
  • ・・・黄白色の小さな花を散形状につける。これも良い香りを漂わせる。雌雄異株だが、雌株は少ない。 
  • 果実・・・楕円形で、10月頃暗紫色に熟す。 
  • 料理の香りづけ・・・葉には、芳香性の揮発油が含まれ、南ヨーロッパなどでは、料理に必ず使うので、各家庭に植える木とされている。肉や魚料理、パスタなどのほか、菓子の香りづけにも利用される。 
  • 薬用・・・葉と実は、芳香健胃剤などに用いられる。また、炎症を緩和して関節痛や神経痛の痛みを和らげる効果もあるとされ、お風呂に入れると疲労回復が期待できるとされている。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)