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樹木シリーズ209 タイサンボク

  • 常緑の葉の上に大きな白い花を咲かせるタイサンボク(泰山木・大山木、モクレン科)
     北米原産で、日本には明治6年に渡来したとされている。庭木や公園樹として植えられている。ホオノキのように花も葉も大きい。特に白い花は、直径20cmにもなり、国内で見られる樹木の花としては最大級。甘くさわやかな芳香を放つ花から香水が作られる。肉厚で大形の葉は光沢が強く、質感は堅い。モクレンの仲間は落葉樹だが、本種は常緑樹。秋田では、温暖な気候のにかほ市蚶満寺などに植えられている。
  • 名前の由来・・・大きな花や葉をつけ、大木になる樹形を、泰然とした大きな山になぞらえ、「泰山木」あるいは「大山木」と名付けられたと言われている。 
  • 花期・・・5~6月、高さ10~20m 
  • 樹形・・・幹はまっすぐ伸び、直立した卵形の樹形で、葉が垂れずに放射状に立ってつく。大きいものでは高さ20mにもなる。公園によく植えられている。ただし、かなり大木にならないと花をつけないので小庭園には不向きと言われている。 
  • ・・・長楕円形で革質。表面は光沢が強くテカテカしている。葉の縁は裏へ反り返る。葉裏は、金色に見えるほど褐色の毛が密生して手触りが良い。葉柄が堅いので、葉が垂れずに立つ。
  • 大輪花・・・白い大輪花を咲かせ、甘くさわやかな芳香を放つ。花弁は肉質で6個、稀に9~12個。ガク片は3個で花弁状。
  • 雌しべは真ん中に円錐状に集まる。雄しべは雌しべの周りに多数。 
  • 香水・・・花は、甘さの中にベルガモットオレンジに似た柑橘類のさわやかな香りが混ざったような芳香を放つ。その花からマグノリアという香水が作られる。 
  • 果実・・・袋状の果実が集まった集合果。秋に熟し、裂けると赤い種子が現れる。
  • 良く目立つ赤い実と野鳥・・・ヤマガラ、キビタキ、エゾビタキ、オオルリなど、多くの野鳥たちが集まってくる。 
  • 上野動物園前の記念樹(写真:グラント将軍植樹碑)・・・アメリカ第18代大統領グラント将軍は、明治12年、夫人と日本を訪れたとき、上野公園で記念植樹をした。夫人が植えたのがタイサンボク。高さ約10m、初夏にたくさんの花を開き、「グランドギョクラン」と呼ばれて親しまれているという。 
参 考 文 献 
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社) 
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)