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樹木シリーズ211 センダン

  • センダン(栴檀、センダン科)
     温暖な地域の海岸近くに自生し、夏には淡い紫色の花がけぶるように咲く。秋、実は黄色く熟すが、葉が散った後も樹上に残り、枝に淡い黄褐色の実を鈴なりにつけて良く目立つ。実は苦くて有毒成分を含むが、ヒヨドリやツグミ、ムクドリなどが丸呑みして種を運ぶ。街路樹や公園樹として植えられている。葉はタラノキやナンテンと同じく、2~3回羽状複葉で互生する。
  • 名前の由来・・・秋から晩秋にかけて球状の果実がびっしりつき、これを「千珠(せんだま)」と呼び、それがなまったのが和名の由来と言われている。 
  • 花期・・・5~6月、高さ30m 
  • 樹形・・・傘のように枝を広げた樹形になる。 
  • 樹皮・・・紫黒褐色で縦に裂ける。樹皮は「苦楝皮(クレンピ)」と呼び、虫下しに使った。ちなみに枝葉は殺虫剤に使われた。 
  • ・・・大形の2~3回奇数羽状複葉で、最初の二対は対生し、第5葉から互生する。小葉は卵形または卵状楕円形で先は長くとがり、基部はゆがむ。縁は不ぞろいの鈍鋸歯がある。
  • ・・・新しく伸びた枝の葉腋から長さ10~15cmの複集散花序をだし、淡い紫色の小さな花を多数開く。花弁とガク片は共に5個。雄しべは10個で、紫色の花糸が合着して筒状になり、その上部内側に黄色の葯がつく。
  • 花は、濃い紫色の花糸が合着し筒状になる。 
  • 花には芳香があり、チョウなどが集まる。 
  • 果実・・・10月頃、黄色に熟し、葉が落ちた後も長く枝に残る。核は数珠の玉に使われる。 
  • 実は淡黄褐色から、次第に白く色あせる。
  • 果実と野鳥・・・種は角があって非常に硬く、小さな鳥は呑み込めない。この実を食べるのは、ほとんどがヒヨドリ。他にムクドリ、ヒレンジャク、イカル、ミヤマガラスなどが少し食べる程度。 
  • 薬用・・・センダンの実を乾燥させたものを「苦楝子(クレンシ)」と呼び、腹痛の時に用い、実の外側の肉はヒビ、アカギレに効くとして利用されてきた。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)