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樹木シリーズ221 スダジイ

  • 温暖な海辺に多いスダジイ(別名シイ、ブナ科)
     タブノキと並んで暖かい海辺に多く、照葉樹林の代表種。カシ類に比べると寒さに弱く、海に近い常緑樹林ではしばしば森に優占し、純林をつくることもある。ドングリは生のまま食べることができ、「シイの木」と呼ばれて親しまれている。葉裏の色が金色に見えることと、樹皮が縦に裂けているのが大きな特徴。同属のツブラジイが本種に似ているが、樹皮が裂けない点で見分けることができる。福島・新潟以西に分布。 
  • 名前の由来・・・果実が巻貝の一種の「シタダミ」に似ていることから、「シタダミシイ」が訛ったとの説がある。またシイタケの原木を「スダギ」と呼ぶことが有り、シイタケ原木に使う木の意味で「スダジイ」と呼ばれる説もある。 
  • 花期・・・5~6月、高さ約30m 
  • 旧細川邸のシイ(スダジイ/東京都天然記念物) 
  • 京都・新日吉神宮のスダジイ・・・幹周4.2m、樹高15m、推定樹齢500~800年。
  • ・・・厚い革質で、縁の途中から鋸歯のある葉と全縁の葉が混在している。葉先は細長く伸びる。葉裏は金色っぽく見える。
  • 樹皮・・・幼木の頃から裂け目があり、老木では深く縦に裂け目が入る。 
  • ・・・初夏、多数の雄しべが垂れて咲き、強く香る。雌しべは枝先に立ち上がるが、飾りはなく目立たい。
  • 虫媒花・・・枝一杯に淡い黄色の花房をたくさんつけ、遠くからでも良く目立つ。さらに傍に寄るとむせかえるような強い花の香りで虫を呼ぶ。 
  • 果実・・・帽子(殻斗)はドングリをすっぽり包んで成長し、秋にヘルメット状の殻斗が3つに裂ける。ドングリは先の尖った円錐形。昔から大切な食用とされた。 
  • 食用のドングリ・・・渋みが少なく生でも食べられる。デンプンが多く、サツマイモのような、クリのような味がするらしい。フライパンで炒ったり、電子レンジで加熱すると風味が増して美味しいという。 
  • 貯食・・・カケスなどの鳥やネズミなどの小動物の大好物。スダジイは、動物が貯食したドングリをわずかに食べ忘れてくれることを期待して、無駄を承知で大量のドングリをつくる。本種のドングリは、コストの割には欠点が多いと言われている。 
  • スダジイの巨樹・・・寺や神社、公園、庭園などにもよく植えられ、庭木の主木として使われるほか、防火、防風の役目も果たしている。
  • ツブラジイ・・・スダジイと似ているが、本種の樹皮は老木になるまで滑らかな灰青色。果実も小さく、別名コジイと呼ばれている。(写真出典:ウィキメディア・コモンズ) 
参 考 文 献 
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木の個性と生き残り戦略」(渡辺一夫、築地書館)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)