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樹木シリーズ223 ネズミモチ、トウネズミモチ

INDEX ネズミモチ、トウネズミモチ
  • ネズミモチ(鼠黐、モクセイ科)
     関東地方の以西の暖かい山地に多い常緑小高木。排気ガスに強く、刈り込みにも耐えることから、生け垣や街路樹に利用されている。対生する葉に鋸歯はなく、裏面の葉脈もはっきりしないのが特徴。初夏、枝先に花序を出し、先が4つに開いた白い花をたくさん咲かせる。その花には、様々な昆虫たちが集まる。果実は、ネズミの糞に似た楕円形で、黒紫色に熟す。ヒヨドリなどの野鳥たちがよく食べ、種子を散布してくれる。よく似た中国原産のトウネズミモチは、ひと月遅く咲き、実は丸い形をしているので見分けられる。
  • 名前の由来・・・葉がモチノキに、実がネズミの糞に似ていることから。 
  • 花期・・・6月、高さ6~8m 
  • ・・・卵形で、先は尖り、革質で光沢がある。葉脈が不明瞭で、光にかざしても余り明瞭ではない点が特徴。 
  • ・・・本年枝の先に長さ5~12cmの円錐花序を出して、白い花を多数つける。花冠は筒状漏斗型で4つに深く裂け、裂片は反り返る。 
  • 花と昆虫・・・花筒が長く、雄しべが前に突き出しているので、花粉媒介者としてモンシロチョウやスジグロシロチョウ、サトウラギンヒョウモンなど、チョウの仲間がよくやってくる。
  • 果実・・・長さ1cmほどの楕円形で、先は丸い。黒紫色に熟す。 
  • 果実と野鳥・・・ヒヨドリやツグミ、シロハラ、ジョウビタキなどが食べて種子を散布する。特にヒヨドリが良く食べることから、急速に増えていると言われている。 
  • 参考:よく似たトウネズミモチ(モクセイ科)
     中国原産で、公園樹や緑化樹として植えられる。秋から冬にかけて丸い球形の果実が黒灰色に熟す。ネズミモチより大木となり、葉も花序も大きい。ヒヨドリなどの野鳥が良く食べて種子を散布するので、都市近郊の林や庭先にどんどん生え、要注意外来生物に指定されている。 
  • 名前の由来・・・ネズミモチの中国原産の近縁種だから、「唐ネズミモチ」という和名になった。 
  • 初夏、白い花が多数咲く。
  • ・・・ネズミモチの葉は光にかざしても葉脈が不明瞭だが、本種は明瞭である。 
  • 果実・・・ブドウの房のような実は球形で、10月頃から紫色がかった黒色になり、12月頃になると熟して、白っぽく粉をふく。 
  • トウネズミモチの果実を食べるオオアカハラ 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)