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樹木シリーズ243 ムベ(郁子)

  • ムベ(郁子、バラ科)
     アケビの仲間だが、アケビ属ではなくムベ属とされるツル植物。関東地方南部以西の山地に生え、光沢のある濃緑色の葉が冬も元気に茂る。春の花は、白に淡い紫色を帯びた6弁の花が、無数の釣鐘のように垂れ下がって香る。雌花と雄花が混じって咲く雌雄同株だが、圧倒的に雄花が多い。果肉は甘くて美味しいが、アケビと同じくたくさんの硬い種子が邪魔をする。 
  • 名前の由来・・・その昔、天智天皇が長生きの老夫婦に出会い、長生きの秘訣を尋ねたところ、ムベの実を食べているからと教わり、「むべなるかな」と答えたことから「ムベ」と呼ばれるようになったという。
  • 花期・・・4~5月 
  • ・・・掌状複葉。小葉は5~7個あり、革質で、縁は全縁。
  • ・・・葉の脇から短い総状花序をだし、3~6個の雄花とやや大形の雌花を少数つける。花弁はなく、6個のガク片はわずかに淡い黄緑色を帯び、内側は暗い紅紫色。 
  • 雌雄同株だが、自家不和合性。 
  • 果実・・・秋、赤紫色に熟すが、アケビのように裂開しない。
  • 果肉は甘いが、中にはたくさんの硬い種子が入っている。
  • 縁起物・・・ムベは成長に伴って、葉の数が3枚、5枚、7枚と「七五三」に変化し、樹齢も長いため縁起のよい「長命樹」とされる。 
  • 庭木・・・花が美しく、果実も採れるので、庭木として利用される。ただし庭木にする場合、自家不和合性のため、2株植える必要がある。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)