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樹木シリーズ41 サワフタギ、ナツハゼ

INDEX サワフタギ、ナツハゼ
  • 沢をふさぐ瑠璃色の実と初夏の白花が美しいサワフタギ(沢蓋木、ハイノキ科)

     山地の沢沿いや尾根などに生え、沢をふさぐように生えるのが和名の由来。秋、瑠璃色に輝く実が最も印象に残るが、初夏、白い花をたくさん咲かせるので見応えがある。昔は、木灰を紫根染めの媒染剤に用いた。分布は、沖縄を除き全国の丘陵帯から山地帯にみられる。
  • 名前の由来・・・樹形が良く枝別れして横に広がり、沢に蓋をするように生える意味から、「沢蓋木」と書く。花や葉がバラ科のウシコロシ(カマツカ)に似ているので、別名「瑠璃実の牛殺し(ルリミノウシコロシ)」と呼ばれる。また、木灰を染料の媒染剤としたので、別名「錦織(ニシコリ)」とも呼ばれている 
  • 花期・・・5~6月、高さ4~6m 
  • 花のツボミ 
  • ・・・枝先から円錐花序を出して、白い花を密につける。5弁の花は直径7~8mmで、白いレースのベールをまとったように見える。
  • 花のアップ・・・放射状の長い雄しべは、線香花火のように放射状に広がって、全体的にフワフワした感じに見える。中心に雌しべが一つ。 
  • ・・・倒卵形の葉は、カマツカに似ているが、葉脈がくぼみ、毛が多い。縁の鋸歯は細かい。先端は内側に向き、葉先は急に短く鋭頭になる。
  • 樹皮・・・灰褐色で細かくひび割れ剥がれる。 
  • ハイノキ(灰の木)科・・・その名のとおり、木灰にはアルミニュウムの含有量が多いので、ミョウバンが普及するまで、紫根染の媒染剤として利用された。 
  • 果実・・・やや楕円形の果実は、秋、瑠璃色に熟すので良く目立つ。
  • 実を食べる野鳥・・・10月頃、実が熟すと、メジロや渡り途中のムギマキ、キビタキなどが採食する。 
ナツハゼ
  • 薬効成分が高く「和製ブルーベリー」と呼ばれるナツハゼ(夏櫨、ツツジ科)

     ブルーベリーと同属で、秋に黒く熟す実は甘酸っぱく、生でもジャムでも食べられる。山の乾いた林に生え、枝を四方に広げて高さ2mほどになる。今では、薬効成分が高い「和製ブルーベリー」として栽培され、様々な加工品が開発されている。分布は、沖縄を除き全国の丘陵帯から山地帯の林地に普通にみられる。 
  • 名前の由来・・・条件によって、夏に真っ赤に紅葉することがあり、それをウルシ科のハゼノキの紅葉に見立てたのが和名の由来。 
  • 花期・・・5~6月、高さ2~3m 
  • ・・・淡黄褐色の鐘形の花を多数開く。 
  • ・・・葉柄は短く、葉の表面に毛がありざらつく。鋸歯はごく小さく糸状。葉の裏の葉脈上に毛がある。 
  • 液果・・・直径7~9mmの球形でガクの跡が大きく、黒褐色に熟す。ブルーベリーの1/3から1/2ぐらいの小粒だが、「和製ブルーベリー」とも呼ばれ、ポリフェノールなどが多く含まれている。酸味があり、生でも食べられる。 
  • 実の薬効・・・目の疲労回復や血液浄化作用などに効果があるとされるアントシアニン等ポリフェノールがブルーベリーの2~3倍も含まれている。 
  • 加工する場合の採取時期・・・ポリフェノール、アントシアニン、ペクチンなどの含有量が高いが、その量は採取時期によって変化するという。ジャム類の加工を行うには、10月下旬の採取がベストらしい。また冷凍果実を加工するには、解凍処理を行わない方が良い。 
  • ナツハゼの抗インフルエンザウイルス作用・・・ブルーベリー類にはインフルエンザウイルス吸着阻害活性があり、総ポリフェノール含量と高い相関がある。中でもナツハゼの活性は高く、株が異なるインフルエンザウイルスに対しても吸着阻害活性を有し、加熱をしてもその効果は失われない。(農研機構)
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
  • 「葉でわかる樹木 625種の検索」(馬場多久男、信濃毎日新聞社)