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樹木シリーズ46-2 キササゲ、アメリカキササゲ

INDEX キササゲ、アメリカキササゲ
  • 果実が豆のササゲに似ているキササゲ(木大角豆、ノウゼンカズラ科)

     古く中国から伝来した薬用植物。豆のササゲに似た長さ30cmにもなる細長い果実が特徴。今では、人里近くの川岸などに野生化している。若木は、キリに似た大きな葉を広げて成長が早く、高さ1mほどで花を咲かせるので成熟も早い。 秋田では、雷除け、魔除けとして屋敷内によく植えた。果実は利尿剤に、材は下駄や器具の材料に使われた。
  • 名前の由来・・・細長く垂れる実(左上写真)を、マメ科のササゲ(右上写真)にたとえたもの。 
  • 花期・・・6~7月、高さ5~12m 
  • ・・・枝先に円錐花序をだし、内側に暗紫色の斑点のある淡い黄色の花を開く。花冠は、広い漏斗形で、先は5裂してやや唇状になる。裂片の縁は縮れる。 
  • 果実・・・細長い蒴果で長さは30cmほどと長い。実は晩秋に裂け、両端に毛管をつけた種子を飛ばす。種子は、非常に発芽率がよく日本の各地に広く分布するようになった。 
  • ・・・葉は対生し、長さ10~25cmの広卵形で、普通3浅裂する。葉柄は長い。
  • 樹皮・・・灰褐色で、縦に浅く裂ける。
  • 樹木見本園とアオゲラ・・・上の写真は、樹木見本園のキササゲにやってきたアオゲラ。樹木見本園で野鳥を狙っていると、意外に目立つのがアオゲラだ。アオゲラは、生立木で内側が腐朽した木を好んで営巣するらしい。樹木見本園から国際教養大学周辺のサクラは、心材が腐朽しているものが多い。恐らく、そんなサクラの古木に営巣しているのであろう。 
  • 薬効・・・生薬は、さや状の果実と根皮を利用する。果実は、非常に利尿作用が強く、排尿障害や水虫を改善する効果があるとされている。また幹や根の皮の部分は、解熱、解毒剤として用いられた。 
  • 屋敷に植えられるキササゲ・・・キササゲは高木になり、水気を好むために避雷針代わりに利用される雷除けの木として、神社や仏閣などによく植えられた。秋田では、この木に雷が落ちないことから「カミナリササゲ」と言い、雷除け、魔除けの木として屋敷内によく植えられた。また、この実は腎臓病の妙薬として利用された。
アメリカキササゲ
  • キササゲに似ているアメリカキササゲ(アメリカ゜木大角豆、ノウゼンカズラ科)

     キササゲによく似ている北米原産の落葉高木。キササゲより大きな花をつけ、花は白色または乳白色で、内側に黄色の筋と紫褐色の点がある。 
  • 花期・・・5~7月、高さ17m。花は白色で内側に紫色の斑点があり、裂片の縁は縮れる。
  • 葉は心状卵形で、葉柄は長い。 
  • さく果・・・20~25cmでキササゲより太くて短い。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「図説 日本の樹木」(鈴木和夫・福田健二、朝倉書店)
  • 「森の野鳥を楽しむ101のヒント」(日本林業技術協会、東京書籍) 
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「あきた風土民俗考」(齋藤壽胤、秋田魁新報社)