本文へスキップ

樹木シリーズ66 ハンカチノキ

  • 白いハンカチのような総苞片が目立つハンカチノキ(オオギリ科)

     中国四川省雲南地方の標高1500~2000mの湿潤な森林中に自生する珍しい樹木。中国では一級の保護植物で、日本には1952年、東京小石川植物園に初めて入った。白いハンカチのように見えるのは、花びらではなく総苞片と呼ばれるもので二枚一対でつく。 
  • 名前の由来・・・花期、たくさんの白いハンカチが木にぶら下がっているようにみえることから。 
  • 花期・・・5~6月、高さ20m 
  • ・・・中心に小さく黒く見えるのが花。球形の頭状花序に1個の両性花と多数の雄花をつける。基部に大形の白い総苞片が2枚つく。 
  • 花は開くと独特の臭いを放ち、ハエなどの虫が寄ってくる。花は咲き始めから1週間前後が見頃で、その後は苞が落ちていく。
  • 落下した白いハンカチ(苞)
  • ・・・心形で、側脈が明瞭、鋭い鋸歯がある。長枝につく葉は互生するが、短枝につく葉は束生状につく。
  • 樹皮・・・橙褐色で、縦に鱗状に薄く剥がれる。 
  • 果実・・・長さ4cmほどで、緑色から熟して茶褐色になる。皮はかたい。 
  • クラフト、リースに利用・・・果肉をはがすか、腐らせると、硬いアーモンドのような種が現れる。それをタワシできれいに洗い流し、乾燥させると、クラフトやリースの材料になる。 
  • 木の実を食べる野鳥・・・ヒヨドリ、ムクドリなど野鳥は、外側の果肉だけを食べて、中の硬い種は下に落として食べる。
  • 数ある樹木図鑑でも余り載っていない珍しい樹木・・・秋田市植物園(仁別)で見ることができる。
  • 分布・・・中国の四川、雲南、貴州、湖北とチベット東部。日本では、果実の化石が発見されており、鮮新生から更新世にかけては広く分布していたという。 
  • 1862年、フランスの神父アルマン・ダビットは中国の奥地を探検し、この花を発見。欧米の園芸家に大きな反響を呼んだ。ちなみにジャイアントパンダなどもヨーロッパに伝えた。現在、世界的に栽培されている。 
  • 花言葉・・・白いハンカチにちなんで「清潔」
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)