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樹木シリーズ80 カマツカ

  • 農具の柄に使われたカマツカ(鎌柄、バラ科)

     林の中では目立たない存在だが、材としては丈夫で強靭なことから、農具の柄に使われるなど、身近に使われてきた落葉低木。春、白い清楚な花をたくさん咲かせ、秋、赤い実をつけ、華やかに黄葉する。庭木や盆栽にも利用される。北海道から九州まで広く分布。 
  • 名前の由来・・・鎌の柄に使われたことから、「鎌柄(カマツカ)」と書く。牛の鼻輪をこの木で作ったことから、別名ウシゴロシと呼ばれている。生活の中で身近に使われてきた木で、ノミヅカ、ウシタタキ、ウシノハナギなど、全国各地に様々な呼び方をされている。 
  • 花期・・・4~5月、高さ5~7m 
  • ・・・短い枝先に小さな白い花が10~20個づつ房になって咲く。花が満開になると見応えがある 
  • 雄しべ、雌しべ・・・雄しべは20個で、葯は最初は白いがやがて黒くなる。雌しべの柱頭は3つに分かれ、基部には白い毛が密生している。 
  • 樹皮・・・灰色系で縦にしわがより、斑紋がある。若枝はほとんど無毛。 
  • ・・・卵形で互生し、葉先に近い方が幅広で先が鋭く尖り、縁は細かいギザギザがある。葉の表面は淡い緑色、裏面は灰白緑色で、新芽が出た時は表面に毛が見られるが、後に脱落してほとんど無毛になる。 
  • 果実・・・秋に赤く熟し、先端にガク片が残る。果柄には褐色のイボ状の皮目が多い。 
  • 果実初期・・・緑色をしている。
  • 次第に黄緑色になる。
  • 黄緑色から赤く熟す。
  • 真っ赤に熟した果実
  • 黄葉・・・黄色に黄葉する。
  • 株立ちした樹形・・・定期的に伐採された里山では、切株からすぐに萌芽し、株立ちした樹形になる。
  • 材の利用・・・細くても丈夫で粘着力があり折れにくい。加工はしづらいが、工具や農具の柄に重用された。特に玄能や金槌などの柄に重用された。他に洋傘の柄や櫛、細工小物、薪炭、シイタケの原木などに利用された。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「続・読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「樹木と木材の図鑑 日本の有用種101」(創元社)