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樹木シリーズ81 ヤドリギ

  • 冬枯れの森にクマ棚のように丸く繁茂するヤドリギ(宿木・寄生木、ヤドリギ科)

     冬枯れの公園や森を歩いていると、樹上の枝に丸く繁茂する緑がよく目立つ。遠くから見るとクマ棚のようにも見えるが、近づくと緑色をしているのでヤドリギだと分かる。ブナやミズナラ、クリ、サクラ、ケヤキなどに主に寄生する。葉は革質で厚く、竹トンボのように枝先に対生する。晩秋から冬にかけて黄色い実をつける。その実は、レンジャク類(ヒレンジャク、キレンシャク)が好んで食べて種子を散布してくれる。
  • ヒレンジャクの写真提供ブログ私の鳥撮り散歩 
  • 名前の由来・・・落葉樹の木に寄生して、その幹から養分などを吸い取って生きていることから、「宿木(ヤドリギ)」と呼ばれている。
  • 花期・・・2~4月 
  • ホヤ・・・仙北地方のマタギは、一般にホヤと呼んだ。冬、すっかり落葉した広葉樹の梢に、緑の葉をこんもりつけているので良く目立つ。寄生植物だが、珍しく葉緑素をもち、花を咲かせて実を結ぶ。
  • ・・・黄色の花を咲かせるが、小さく目立たない。雌雄異株。花には柄がなく、基部に杯状の小苞がある。ガクは、質が厚く、4裂する。 
  • 芽吹き始めた宿主とヤドリギ
  • 果実・・・直径6mmほどの球形で、11~12月に淡い黄色又は赤橙色に熟す。果肉は粘る。種子は1個、扁平で深緑色。 
  • 赤い実・・・鳥によく目立つような赤系の実もあり、アカミヤドリギと呼ばれている。
  • レンジャク類とヤドリギ・・・レンジャク類は、秋、冬鳥としてシベリアから渡ってくる。冬の雑木林、レンジャク類は、この実を好んで食べる。その果肉には粘り気のある成分が含まれており、消化されなかった種は納豆のような白い糸を引き数珠つなぎのような状態で排出される。そしてその種が落下の途中で樹木の枝や幹に付着し、そこからまた根を張って成長する。ヤドリギは、レンジャク類のお陰で、高い梢に根を張り分布を拡大することができる。だから、ヤドリギにとって、その実を好むレンジャク類は、大切なパートナーである。 (ヒレンジャクの写真提供ブログ私の鳥撮り散歩
  • レンジャク類が実を食べた残骸(秋田市植物園)
  • 実を食べる野鳥・・・ヒレンジャク、キレンジャク、ヒヨドリ、ムクドリ、カラスなど。 (ヒレンジャクの写真提供ブログ私の鳥撮り散歩)  
  • 鳥たちに食べられて残り少なくなった実
  • 野鳥ファンに大人気の冬鳥・・・尾羽の先端が赤いヒレンジャク(中部地方以南に多い)と、黄色いキレンジャク(中部地方以北に多い)は、共に冬鳥で、その姿が美しいことからバードウォッチャーに人気が高い。どちらもヤドリギとナナカマドの実が大好きだから、その場所をあらかじめ把握しておけば、冬にレンジャク類を観察できる確率はアップすると言われている。つまり、野鳥観察には、樹木の知識が不可欠である。(ヒレンジャクの写真提供ブログ私の鳥撮り散歩)
  • 宿木・・・種子の発芽の初期から寄生生活をする。その根は「吸根」と呼ばれ、宿主の組織に根を楔形に侵入させ、水分や養分を盗み取る。ただし、緑色の葉を持っているので、自ら光合成で栄養を作ることができるので「半寄生」といわれている。
  • ・・・常緑なので、冬になるとよく目立つ。葉は対生し、革質で厚く、葉柄はない。
  • 乾燥に強い・・・樹上は日当たりが良い反面、雪や風当たりが強く、乾燥が激しい。茎や葉は、その乾燥に耐えられるようにクチクラ層が発達し、葉は多肉となって多量の水を蓄えることができる。
  • 共生する日本産ヤドリギ・・・日本のヤドリギは、宿主を枯らすことがほとんどない。しかし、熱帯産のヤドリギは、宿主の水分等を吸い尽くすため、宿主本体を枯死させることが多いという。
  • セイヨウヤドリギ・・・ヤドリギの母種で、果実が白く熟す。ヨーロッパからアジア西北部に分布している。ヨーロッパの一般家庭では、クリスマスの魔除けとしてセイヨウヒイラギとヤドリギを飾る。 
  • ドルイド教とセイヨウヤドリギ・・・ヨーロッパでは古くから宗教的に神聖な木で、お守りや幸運を呼ぶ木ともいわれ、最近ではその薬効も注目されている。古代ケルト民族が信仰したドルイド教では、ナラの老樹を神聖視し、その木に寄生するセイヨウヤドリギの採取には厳しい戒律があった。彼らは、ヤドリギを天と地の間に生きている神聖な植物と考えていた。それを祭壇に飾ったり、万民に分け与えたりした。 
  • 日本でも昔は、ヤドリギを神の宿とか、天狗の巣と考え、その樹の下に祠を祀ったりした。また、中風の妙薬として煎じて飲んだりした。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「葉っぱで見分け 五感で楽しむ 樹木図鑑」(ナツメ社)
  • 「樹木観察ハンドブック 山歩き編」(松倉一夫、JTBパブリッシング)
  • 「里山の花木ハンドブック」(多田多恵子、NHK出版)
  • 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
  • 「読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「秋田農村歳時記」(ぬめひろし外、秋田文化出版社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 参考ブログ:私の鳥撮り散歩