本文へスキップ

樹木シリーズ85 レンギョウ、ヤマトレンギョウ

INDEX レンギョウ、ヤマトレンギョウ
  • 春、華やかな黄色の花をたくさん咲かせるレンギョウ(連翹、モクセイ科)

     春、細い枝いっぱいに華やかな黄色い花を咲かせ、春の訪れを告げる。中国原産で1600年代初めには日本に渡来していた。日本各地に、庭木、公園樹として植えられている。近縁種に、チョウセンレンギョウ、シナレンギョウ、ヤマトレンギョウがある。近縁種はいずれも似ているので、写真は区別せずに掲載する。ヤマトレンギョウは日本特産で、中国地方の石灰岩の山地に稀に生える。 詩人・高村光太郎が愛した花として有名な花木。
  • 名前の由来・・・古くから漢方で「連翹」と書かれているが、牧野富太郎博士によれば、連翹はオトギリソウ科のトモエソウであって、漢名は「黄寿丹」という。日本名は、誤用された連翹の音読みによるものだとしている。 
  • 花期・・・3~4月、高さ2~3m 
  • ・・・葉より早く鮮やかな黄色の花を開く。雌雄異株。花は4つに深く裂ける。
  • ・・・葉は対生し、縁には粗い鋸歯がある。若枝の葉は3出状に分裂することが多い。
  • 枝は直立するものと枝垂れるものがある。枝垂れた枝が地面に接すると、そこから発根して増えるという。
  • 詩人・彫刻家・高村光太郎が愛した花・・・高村光太郎の命日4月2日は、「連翹忌(れんぎょうき)」と呼ばれている。彼はアトリエの庭に咲くレンギョウの花をこよなく愛していたことから、74歳で亡くなった時、棺の上にレンギョウ(連翹)が一枝置かれたという。
    代表作「道程」・・・僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る・・・ 
  • 栽培記録・・・天和年間(1681~84年)に栽培記録があることから、それ以前に中国から渡来したと考えられている。
  • 薬用・・・生薬名「連翹」は、解熱剤、消炎剤、利尿剤、排膿剤、腫瘍・皮膚病などの鎮痛薬に用いる。夏から秋、成熟直前の果実を採集し、茶褐色になるまで日干しにして使用。新しい大粒の褐色のものが良品とされる。
  • ジャパニーズ・ゴールデン・ベル・・・ヨーロッパには、150年ほど前、日本を経て渡り、初めは「ジャパニーズ・ゴールデン・ベル」と呼ばれた。 
  • 近縁種の識別は困難・・・近縁種のチョウセンレンギョウ、シナレンギョウは、レンギョウと極めて似ていて、素人には区別が難しい。 決定的な違いを見分けるには、枝を切って縦断面を比べることだが、これは一般向きではないので、ここでは区別しない。
  • 花言葉・・・早春に鮮やかな黄色い小花を枝いっぱいに咲かせ、春の訪れを告げることから、花言葉は「期待」「希望」「集中力」。 
  • 用途・・・挿し木などで簡単に殖やせることから、庭木や公園木として広く植えられている。
ヤマトレンギョウ
  • ヤマトレンギョウ(大和連翹、モクセイ科)

     中国地方の石灰岩の山地に稀に生える日本特産のレンギョウ。花は、外国産のものに比べて少ない。雌雄異株。 
  • 花期・・・4月、高さ1~2.5m 
  • ・・・葉より早く径約2.5cmの小形の黄色い花を開く。雄しべは花柱より短い。 
  • 連翹の夜毎黄が濃し何かある 三橋鷹女
  • 連翹に空のはきはきしてきたる 後藤比奈夫
  • 鳥過ぎて連翹は西方の花 金子皆子
  • 連翹やかがむと次元一つ消ゆ 和田悟朗
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社) 
  • 「講談社ネイチャー図鑑 樹木」(菱山忠三郎、講談社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社) 
  • 「季語 早引き辞典 植物編」(監修 宗田安正、学研)