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樹木シリーズ86 ミネカエデ、ナンゴクミネカエデ

  • 黄葉が美しい高山性のミネカエデ(峰楓、カエデ科)

     本州中部地方以北~北海道の亜高山帯から高山帯の主に針葉樹林の林縁に生える落葉低木。高山帯では丈が低く1~2m程度だが、下部では8mほどになる。高山性のカエデは、他にオガラバナやコミネカエデがあるが、中でもミネカエデは一番高い所まで上がり、時にはハイマツ帯の中に混じったりする。秋には黄葉が美しく、高山帯の紅葉の絶景を演出する主役の一つ。近縁種にナンゴクミネカエデがある。秋田駒ヶ岳では、八合目付近にミネカエデ、それより上部にナンゴクミネカエデが多く見られる。
  • 名前の由来・・・亜高山帯の山腹上部から尾根によくみられることから、「峰楓」と書く。ちなみにカエデは、葉の形がカエルの手に似ていることから。 
  • 近縁種・ナンゴクミネカエデ・・・「フラワートレッキング 秋田駒ヶ岳」(日野東・葛西英明)の花図鑑には、ミネカエデとよく似たナンゴクミネカエデも紹介され、駒ヶ岳では八合目より上部に多いと記されている。学者によってミネカエデの亜種または変種とされる場合と、全くの別種とみなされる場合があるという。山地帯から高山帯に生える雌雄異株の落葉低木。 
▲ミネカエデ  ▲ナンゴクミネカエデ
  • 見分け方・・・ミネカエデの葉の先は、ナンゴクミネカエデのように尾状に長く伸びない。ナンゴクミネカエデの雄花は、花弁とガク片の幅が広く、隙間がないのに対して、ミネカエデは細く隙間がある。
  • 黄葉、紅葉の違い・・・ミネカエデは黄色に黄葉するが、ナンゴクミネカエデは紅色に紅葉する。そうした違いはあるものの、その中間的なものもあるように思う。
  • 花期・・・6~7月、高さ2~8m 
  • ・・・対生し、掌の形に5つに裂ける。裂片の先は尖り、縁に欠刻と細かな鋸歯がある。葉柄は紅色を帯びる。 
  • 萌え出る新葉
  • 青空に映える新緑
  • ・・・枝先の総状花序に黄緑色の花を5~10個立ち上がって咲く。雄花と両性花がある。
  • 雄花・・・雄しべは8個あり、花弁とほぼ同長。
  • 雄花にやったきた昆虫
  • 翼果・・・花と同じく上に立ち上がってつき、ほぼ直角に開く。 
  • 樹皮・・・灰褐色で、ひも状の皮目がある。古木(右上写真)になると樹皮に縦の浅い割れ目が入る。
  • 黄葉・・・秋、鮮やかな黄色に黄葉する。紅葉の季節、高山の絶景を演出する主役の一つ。 
  • 栗駒山のミネカエデ・・・栗駒山の標高1,400m以上の高山帯には、ハイマツをはじめ、ミネザクラ、サラサドウダン、ミネカエデ群落がみられ、秋には美しい紅葉を演出してくれる。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社) 
  • 「山渓フィールドブックス7 高山植物」(木原 浩、山と渓谷社)
  • 「樹木図鑑」(鈴木庸夫、日本文芸社)
  • 「樹木 見分けのポイント図鑑」(講談社)
  • 「秋田の山野草Ⅱ300選」(秋田花の会)
  • 「フラワートレッキング 秋田駒ヶ岳」(日野東・葛西英明、無明舎出版)