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樹木シリーズ94 コノデカシワ

  • 小さな種子は野鳥やリスが大好きなコノデカシワ(児の手柏、ヒノキ科)

     中国北部、韓国に分布する常緑針葉樹。中国では、寺院や墓地に植えられる。日本には、元文年間(1736~41年)に渡来した。日本でも古くから栽培され、園芸品種も多い。球果は角のある独特の形をしているが、その中に入っている小さな種子は、ヤマガラやカワラヒワ、ニホンリスがよく食べているのを見掛ける。
  • 名前の由来・・・枝が直立する様子が、子供が手を上げる様子に似ていることから、「児の手柏」と書く。中国では、ヒノキ科の仲間のことを「柏」といい、コノデカシワは「側柏」と書く。 
  • 花期・・・3~4月、原産地では高さ20m、直径2~3mになるものもある。 
  • ・・・雌雄同株。雄花も雌花も枝先に1個ずつつく。雄花は球形で黄褐色で、それぞれ花粉を入れた葯を抱えている。雌花は、先が角状の雌しべが6個対生し、マカロニのような胚孔を伸ばして受粉液に花粉がつくのを待っている。 
  • 庭木になっているものは、たいてい2m以下だが、花はたくさんつけている。
  • ・・・鱗片状で、十字対生して枝にぴったり張り付いている。葉はヒノキに似ているが、枝葉を水平ではなく垂直に立てるので、表裏がない。気孔帯もない。 
  • 樹皮・・・帯褐灰白色で、老木になると繊維状に裂ける。 
  • 球果・・・1年型で、10~11月には熟して果鱗が開く。ヒノキなどと違って果鱗の先が肥大しないので、木製の花のように見える。 
  • 8月には、白い砂糖をかぶった金平糖のようになる。 
  • 秋に入ると、種鱗と苞鱗が一体化した果鱗が木質化し、ときに紫色を帯びる。 
  • コノデカシワの球果は、松ぼっくりのような笠になっていて、その笠と笠との間に小さな種子がたくさん入っている。完全に熟すと、果鱗が割れる。ピーナッツのような種に翼はないので、鳥やリスなどが運んで分布を広げるのであろう。 
  • 球果は、翌年の春も枝についている。 
  • 種子は野鳥も大好き・・・コノデカシワの実を食べていたカワラヒワ。良く見ると、ヤマガラも群がっていた。 
  • ヤマガラとコノデカシワ・・・樹木見本園のコノデカシワの実が豊作になると、たくさんのヤマガラがやってくる。松ぼっくりのような笠と笠との間に入っている小さな種子を、クチバシで器用に種子を取り出し、 あちこちに貯食していた。
  • その場で食べる場合は・・・球果を丸ごともぎとり、口にくわえて、安全な食事場所に移動する。
  • 横枝に止まり、両足で球果を押さえて、クチバシで器用に種子を取り出し食べる。
  • ニホンリスとコノデカシワ・・・ヤマガラを観察していると、別の木にニホンリスがやってきた。リスは、この種子を一切貯食せず、その場で食べるためにやってきたようだ。その際、ヤマガラ同様、まずコノデカシワの球果を丸ごと採る。
  • 球果を丸ごと採ると、枝の上に座り、笠と笠との間に入っている小さな隙間から次々と種子を取り出しては食べ続けた。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
  • 「探して楽しむ ドングリと松ぼっくり」(山と渓谷社)