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野鳥シリーズ⑧ オオワシ

海辺の王者・オオワシ(ワシタカ目ワシタカ科)

 昔は、知床・羅臼町のスケトウダラ漁のおこぼれを狙って大群で越冬していたが、漁が不振になるにつれて各地に分散したと言われている。気性の荒い猛禽類とは思えないほど、黄色の巨大なクチバシがユーモラスである。極東地域にしか生息していない貴重なワシだが、冬鳥として、北海道や北日本に飛来。秋田では、冬の間、大潟村周辺にやってくる。国の天然記念物、国内希少種。
 オジロワシより一回り大きく、雌雄同色。成鳥は、白と黒の体色が遠くからでもよく目立つ。肩、腰からスネ、尾羽、額が白く、目の色は黄色,クチバシはオジロワシより大きく濃い黄色。幼鳥は、全身が黒褐色で白っぽい斑があり、目の色は暗色。成鳥の体色になるのに6年ほどかかる。メスはオスより体が大きい。
見分け方

 クサビ形の尾は、オジロワシより長めで、飛翔中でも黄色の大きなくちばしが目立つことで見分けられる。成鳥は、翼前縁と腰から尾が白いので他種と見間違えることはない。翼は長くて幅広く、飛ぶと後縁がややふくらんだ形。幼鳥は、全体に褐色だが、尾は白い部分が多い。


 「グワッ、グワッ、グワッ」。オジロワシより太くて濁った声で鳴く。争いの時などは「ガッガッガッ」「キャッキャッ」と大声を出すことがある。
全長オス88cm、メス102cm、翼開長221~244cm

 同じ木にカラスと並んだベストショット。オオワシが、その名のとおり、いかにデカイかが分かる貴重な一枚。ちなみにカラスは全長50cm、翼開長99cm。
生活

 オオワシは、海の近くで魚を捕まえて食べる。カムチャツカ半島では、春から秋にかけて、サケやマスの仲間が卵を産むためにたくさん集まってくる。5月、オオワシは、木の枝を集めて、高い木や崖の上に大きな巣をつくる。ヒナのエサも、川や海で捕まえた魚。小さくちぎって食べさせている。

 7月、夏を迎える頃、大きく育ったヒナが羽ばたきの練習を始める。冬の寒さは厳しく、川の魚もほとんどいなくなる。やがて川も海も氷で覆われて、食べ物を捕ることができなくなる。そのため、オオワシたちは、食べ物を求めて暖かい日本に渡ってくるのである。
 生息環境や習性は、オジロワシとほぼ同じで、厳冬期に流氷の上などに一緒にとまっている姿がよく見られる。海ワシ類は、一般に明瞭な縄張り意識を持たず、よく群れていて、一定の木々や岸壁に集団でねぐらを構える。
 メスの大きい個体では、両方の翼を広げた翼開長が2.5m近くあり、翼を広げると楽に畳一枚分に相当する。オジロワシが持ち去るのを諦めた大きな獲物を持って飛んだりしている。体が大きい分、オジロワシより力持ちである。
 越冬期間中、オオワシは縄張り意識がないと言われるが、エサがからむと一変する。荒々しい気性を丸出しにして、お互いに大きな足をつかみ合うなど迫力満点の争いをする。
琵琶湖では外来魚・ブラックバス駆除に一役、カメラマンの列も

 かつて北海道で越冬するオオワシは、スケトウダラ漁のおこぼれを狙っていたが、水揚げ量が減少したため、その一部が南下し琵琶湖で越冬。滋賀県によると、琵琶湖のブラックバスは1983年頃から急増し、オオワシにとっては格好のエサになっているという。オオワシが琵琶湖の外来魚駆除に一役かっているとは驚いた。関西ではよほど珍しいのか、琵琶湖にやってきたオオワシを狙って、三脚に超望遠レンズをつけたカメラマンの列ができるという。
八郎潟干拓地のオオワシ、オジロワシ

 「最も適したバードウォッチングの時期としてお勧めしたいのは、2月上旬から3月下旬・・・マガンをはじめとする多くの冬鳥の訪れがある。・・・氷結した西部承水路や秋田県立農業短大の農場が、マガンやヒシクイの休憩地で、大群が休んでいるすぐ近くに、オジロワシやオオワシも休息していることが多い。」(「あきた探鳥ガイド」日本野鳥の会秋田県支部)
動画「オオワシ 空を舞う(北海道 摩周湖)」(NHKクリエイティブ・ライブラリー)
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「原野の鷲鷹 北海道・サロベツに舞う」(冨士元寿彦、北海道新聞社)
「あきた探鳥ガイド」(日本野鳥の会秋田県支部、無明舎出版) 
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita