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野鳥シリーズ⑨ オジロワシ

魚好きな海ワシ・オジロワシ(タカ目タカ科)

 白く輝く尾羽を広げ、悠々と青空を旋回する。オジロワシは、絶滅が危惧される種として、環境省のレッドリストに掲載されているほか、国の天然記念物。ごく少数が北海道で繁殖するほか、多くはサハリン、カムチャッカなどから越冬のために北海道や東北、日本海沿岸に飛来。個体数は少ない。単独でいることは稀で、ほとんどが群れで生活している。秋田では、冬、大潟村周辺にやってくる。
見分け方

 オジロワシの成鳥は、尾が白いことが和名の由来だが、実際はオオワシの方が白い部分が多い。頭部は淡い褐色で、体の下方ほど黒褐色の色合いが深くなる。クチバシと足は黄色い。幼鳥の尾は白が混じった褐色で成鳥よりも長い。古来より神事に使う矢の矢羽根にも採用されてきた。
(写真:カラスを嫌がっているオジロワシ)

 繁殖期に、巣の近くで警戒する時には、「クワッ、クワッ、クワッ」と鳴く。それ以外はほとんど鳴かない。けんかやカラスを追い払う場合には、「クラッ、クラッ、カカカカッ」と鋭く大声で鳴きたてる。ヒナは、「ピィーピィー」と鳴く。
全長 オス80cm メスのほうが大きく94cm 翼開長182~221cm
生活

 海岸や河口、海沿いの水田、湖沼、時には内陸の湖沼を生活圏にしている。水面上を低く飛び、足を伸ばして獲物をつかみとる。主に大型魚のほか、カモなどの水鳥や幼獣を襲うこともある。湖沼周辺の巣ではカモ類やウグイなどの魚類を捕食する。海岸では漁船が捨てる雑魚も餌にしている。
 秋には成鳥、幼鳥ともにサケ・マスの遡上する河川に見られ、サケやマスの死体を餌にする。エサが競合するミサゴから空中攻撃を受けたり、カラスに追い立てられることも。木や流氷の上、地上などで休憩している時も、しばしばカラスに取り囲まれ、尾を引っ張られるなどの嫌がらせを受ける。
 2月下旬、求愛行動が始まるペアも見られ、3月になると巣作りも始まる。古い巣の上に新しい枯れ枝を運び込んで増築する。同じ巣を20年以上も使い続けているペアもいるという。ヒナは1羽が多いが、稀に3羽巣立ったケースもある。オスがエサの運び役で、メスはヒナの世話と見張り役と、はっきり分業体制をとるペアもいれば、その都度交代で行うペアもいる。ヒナの成長は、エサ次第。十分に与えられると孵化後70日ほどで巣立つが、不足すると1~2週間遅れる。大型の鳥だけに、成鳥になるには6年もかかる。
 冬、日本海からの季節風が吹き荒れる。オジロワシは、その強い風に逆らい、時には流れに乗って大きな体を力強く舞う。その姿は、鳥の王者のような風格がある。その巧みな飛行技術は、狩りはもちろん、いち早く逃げ去る時にも役立つ。一見体が重そうに見えるが、歩くスピードは意外に速い。
鉛中毒

 北海道では、急増したエゾシカの個体数管理が行われ、その結果、エゾシカの死体が数多く山中に放置されるようになった。ワシ達は魚の代わりの格好の餌として、散弾銃で仕留められるシカに目をつけた。しかし、オジロワシは、鉛の散弾ごと肉を飲み込んでしまうらしく、鉛が体に蓄積し、命を落とす数も少なくないという。現在は、エゾシカやヒグマなど全ての大型獣の狩猟において鉛弾の使用禁止、狩猟による獲物の放棄が禁止となっている。
バードストライク

 オジロワシの飛翔調査によると、オオワシより飛翔高度が低く、風車に鳥が衝突するバードストライクの危険性の高い高度を飛ぶ頻度が高いことが分かった。それがために、オジロワシが風力発電用の風車に衝突して落鳥するケース(バードストライク)が多いという。
▲優雅に舞うオジロワシ
▲吹雪の中の争い、「オジロワシ VS トビ」
動画「オジロワシ 木の上で羽休め」(NHKクリエイティブ・ライブラリー)
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「原野の鷲鷹 北海道・サロベツに舞う」(冨士元寿彦、北海道新聞社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita