本文へスキップ

野鳥シリーズ100 ヤツガラシ

  • 広げた冠羽が格好いいヤツガラシ(八頭、ワシタカ科)
     クチバシが細長く、扇のように広げた冠羽が格好良い。春と秋の渡り期に全国で見られる旅鳥。野鳥ファンに人気が高いが、日本で見られる個体数は少なく、なかなか出会えない。「稀な旅鳥」だが、秋田ではしばしば観察されている。ユーラシア大陸とアフリカの熱帯から温帯で広く繁殖する。全長27cm。
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • 特徴・・・驚いたときなど、冠羽を広げると扇状になる。冠羽の先端は黒い。頭から背は橙褐色で、クチバシは細長く、やや下に曲がっている。翼と尾羽は白黒の縞模様になっているが、飛ぶとよく目立つ。雌雄同色。 
  • 名前の由来・・・頭にある冠羽が8つに見えることから、「八頭」と書く。あるいは、冠羽を髪飾りの載頭(ヤツガシラ)に見立てたという説もある。 
  • ・・・繁殖期になると「ポゥポゥポゥ、ポゥポゥポゥ」と、低いがよく通る声で鳴く。 
  • 生活環境・・・日本では、集落付近の畑、芝生、草地などで1羽で見られることが多い。頭を前後に振って地上を歩きながら採餌する。 
  • 食性・・・土中にいる昆虫やミミズなどの土壌生物を捕食する。 
  • 採餌・・・長めのクチバシを堆肥などに突き立てて昆虫を探したり、落葉を跳ね除けて下に潜む昆虫を捕らえたりする。 
  • クチバシ芸・・・つまみ出した昆虫類を一旦空中に放り投げてからくわえ直す行動がよく観察される。
  • ケンさんの観察記録概要「長期滞在型のヤツガシラの餌捕り」・・・開けたグランドなどの芝地や背丈の低い草地を好んで歩き周りハンマーのような形の頭と細長い曲がった嘴を上下に動かしながら地中に突き刺して昆虫の幼虫やミミズなどを捕り、嘴を大きく開けて喉に放り込むように飲み込む。稀には腐った杭や朽ちた木の中をキツツキのように突いて中の昆虫を捕る様子も見られる。
  • 砂浴びしながらエサ探し
  • 秋田県立博物館の観察記録概要(1986年4月、高橋一郎)・・・1986年4月28日、県立博物館正面入口の脇の狭い芝生の上で観察された。長いクチバシをしきりに芝生内に差し込み、時々ミミズと思われる動物をつまみあげては食した。芝生脇を往来する人の動きに驚くと、アカマツ林や落葉広葉樹林内に退避するが、再び芝生上に降り立ち採餌を始めた。博物館南側の芝生傾斜地で、4月26~27日にも観察されたという。4月29日以降は観察されたという情報はない。
  • 冠羽・・・普段は寝かせている。開くのは、驚いた時だけ。
  • 大陸の繁殖例・・・主に樹洞に営巣し、石垣の隙間、建物の隙間、巣箱なども利用する。産卵期は4~6月、卵数5~8個、抱卵日数約16~19日、巣立ち日数20~27日ほど。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「秋田市小泉潟公園に飛来したヤツガシラの観察記録」(秋田県立博物館研究報告第12号/1987年3月、高橋一郎)  
  •   写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記