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野鳥シリーズ⑬ ミサゴ

  • 空飛ぶ漁師・ミサゴ(タカ目ミサゴ科)
     ミサゴは、水中に足から突っ込み、魚ばかり捕食するタカで、「空飛ぶ漁師」と形容されるほど魚捕りの名人である。スマートな体型で、白黒の配色が美しく精悍な顔をしている。体の全面が白いので遠くからでも良く目立ち、飛んでいる時は他のタカよりも尾が短く見えるので、遠くからでも識別できる。全国で繁殖する留鳥。
  • 魚を捕らえて空飛ぶミサゴ
  • 見分け方
     頭と体の下面が白く、顔には黒い眼帯、後頭部に短い冠羽がある。背中と翼の上面は暗褐色。トビとほぼ同じ大きさだが、白黒のコントラストが目立つので色が分かれば識別は容易。雌雄同色だが、メスは胸にある褐色の帯がオスよりも太く色が濃いので判別できる。足の指はうろこ状で、魚を捕まえる時の滑り止めになっている。密生した羽毛は、水を通しにくくしている。
  • 名前の由来・・・水中に足を突っ込み、魚を捕らえる生態から、「水さぐる」が語源と言われている。
  • ・・・ほとんど鳴かないが、繁殖期には上空を飛びながら「ピョッピョッピョッ」と優しい声で鳴くことがある。巣から舞い降りる時も「ピョッピョッ」と大きな声を出す。
  • 全長 オス55cm、メス64cm 翼開長157~174cm
  • ミサゴずし・・・江戸時代の本草書「本朝食鑑」には、ミサゴが捕らえた魚を貯蔵し、漁が出来ない際にそれを食すという習性が掲載されている。貯蔵された魚が海水を浴びて自然発酵することにより「ミサゴずし」になったと伝えられている。そのうまみが増した魚を人間が食したのが寿司の起源であるとされている。そのため、寿司屋の屋号に「みさご鮨」を採用している店が少なからず存在する。
  • 生活・・・海岸、大きな川、湖沼などに棲み、良く水面上を高く飛びながら魚を探している。獲物を見つけると、停空飛翔で狙いをつけ、獲物をめがけ水中へダイビング。脚を前に突き出した態勢で水に突っ込み、両足で大小さまざまな魚を捕らえる。食事場所は、岩や杭の上、木の枝など。
  • ミサゴの巣・・・人気のない海岸の岩の上や岩棚、水辺に近い大きな木の上に枯れ枝を積んで皿型の巣をつくる。4月頃、2~3卵を産む。抱卵日数は約35日、巣立ちまでの日数は約50日。
  • ミサゴの幼鳥
  • 河口部のミサゴ・・・河口部では、潮が満ち始める時に狩りをすることが多い。ミサゴは、潮とともに海から魚がやってくることを知っているからである。時には数羽のミサゴを見ることがあり、あちこちで狩りのためのホバリングをしている光景が見られる。
  • ミサゴの豪快なハンティング
     空の高みから急降下で水中に突入、大きな水しぶきとともに、鋭い爪で巨大な魚をわしづかみにする。人間の5倍以上と言われる視力で、上空50mもの高さから、水中の魚を探し出す。獲物を見つけると、空中の一点に止まるホバリングで視線を固定し、正確に狙いを定める。その後一気に急降下・・・水中へ突入し、一瞬のうちに魚を捕らえる。
  • 参考動画:【華麗なる舞】ミサゴの狩り 2021秋 - YouTube
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「原野の鷲鷹 北海道・サロベツに舞う」(冨士元寿彦、北海道新聞社) 
「秘伝! 野鳥撮影術」(文一総合出版)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita