本文へスキップ

野鳥シリーズ⑲ メジロ

  • 植物と共生するメジロ(スズメ目メジロ科)

     ツバキや梅、桜など冬から春にかけて咲く木の花の蜜を好み、花粉を運んでくれる鳥。メジロの名前の由来となった目の周りの白い縁取りが大きな特徴。ウグイス色ともいわれる美しい黄緑色の体色、クチバシ下から胸元にかけて黄色、胸から腹は白い羽毛に包まれている。メジロは、寒い所が嫌いらしく、北日本では、10~11月に南へ移動する。その際、数十羽から数百羽の大群で海を越えるという。
  • 古くから愛玩鳥・・・メジロは、きびきびした動作と美しい鳴き声、夫婦仲がとても良く、丈夫で人に慣れやすいため、古くから愛玩鳥として飼われてきた。しかし、2012年4月からメジロの飼育を目的とした捕獲を原則許可しないこととなった。これにより、飼育のための捕獲が許可される野鳥は、原則として皆無となった。都市部から山地まで、国内全域に分布している。(写真:2016年4月12日撮影、梅とメジロ)
  • 見分け方 (写真:2016年4月19日撮影、桜とメジロ)・・・黄緑色の上面と、目の周りの白いアイリングを確認すればメジロに間違いない。喉と下尾筒は黄色で、クチバシは黒。「チィー」という地鳴きは澄んだ高い声で、良く鳴くので見つける目安になる。
  • 声 (写真:2016年4月12日撮影、梅とメジロ)・・・繁殖期は「チィチィチュチィーチィーチィー」などと、早口で高い調子でさえずりを繰り返す。このさえずりを「長兵衛忠兵衛、長忠兵衛」あるいは「千代田の城は千代八千代」などと聞きなしている。地鳴きは「チィー」という特徴のある声で鳴く。警戒する時は「キリキリキリ」と鋭く鳴く。
  • 全長12cm 翼開長18cm (写真:2016年4月21日撮影、国際教養大学周辺の桜とメジロ)
  • 生 活・・・山地や平野部の常緑広葉樹林、落葉広葉樹林に営巣するほか、民家の庭の樹木に巣をつくることもある。冬から春にかけて、ツバキや梅、桜などの木の花の蜜を良く吸う。小枝から小枝へと活発に移動しながら昆虫やクモを捕らえる。木の実も良く食べる。
  • 繁殖期 (写真:2016年4月12日撮影、梅とメジロ)・・・繁殖期になると、ツガイで縄張りを持ち、股になって小枝から蘚類や枯れ草で作った椀形の巣をクモの巣で吊り下げる。産卵期は5~6月、卵数は4~5個、抱卵日数約11~12日、巣立ちまでの日数は約11~13日。
  • 鳥媒花 (写真:2016年4月12日撮影、梅の花の蜜を吸うメジロ)・・・ツバキ類やウメ、サクラなどは、冬から春にかけて花を咲かせ、その蜜をなめにきたメジロやヒヨドリに花粉を運んでもらう。そんな植物を鳥媒花という。特にサザンカ類やツバキ類は、野鳥にとってエサとなる昆虫や果実が少なくなる真冬に花が咲くので、蜜を求める野鳥を効果的に呼び込むことができる。
  • 桜の花蜜を吸うメジロ (写真:2016年4月24日撮影、国花苑)
  • 花粉まみれでクチバシ周辺が黄色になったメジロ・・・それでも飽くことなく花から花へと忙しく飛び回り蜜を吸い続ける。写真は、逆光で失敗作だが、メジロの行動は理解できると思う。
  • 目白押し(写真:2016年4月21日撮影、桜の花に群がるメジロ)・・・メジロは、木の枝などにギュウギュウの状態で止まり、そこから1羽が飛び立つと、隣り合わせのメジロが外側から押されるように詰めてしまう。まるで「おしくらまんじゅう」のような行動をする習性がある。この習性から、混雑している様子や物事が連続して続くことを「目白押し」という。
  • クリプトンの森とメジロ・・・国際教養大学の桜並木とつながっている樹木見本園では、ツバキとトサミズキ(上の写真)、梅の花がいち早く咲く。桜が咲く前、その春一番の花の蜜を求めて、たくさんのメジロたちがやってくる。全長20cmのスズメより6割ほどしかない小さな鳥だから、見つけるのは簡単ではない。近づき過ぎると逃げるので✖。ちょっと離れた樹木に身を隠し、黄色い穂状に垂れ下がる花をじっと眺める。すると、かすかに揺れるのが見える。慣れてくると、メジロは一匹や二匹ではなく、かなりの集団で黄色の花蜜を吸っているのが分かるようになる。
  • クリプトンの森から国際教養大学周辺の桜が咲き始めると、メジロの大集団は、ヒヨドリたちとともに桜の花蜜に移動する。道路沿いは、車や人が多く通るので、メジロたちは避ける。畑がある周辺の桜並木と樹木見本園の桜で、かつその傍に、一時的に避難できるスギや松、ツバキなどの常緑樹がある所にやってくる傾向が強いように思われる。 人が近づくと、常緑樹の木に一斉に避難するが、しばらく距離をとって静かに待っていると、再度桜の花に戻ってくる。
  • メジロの撮影その1・・・梅の花は、春一番に咲くだけに、甘い花蜜に飢えているメジロの警戒心は意外に薄いように思う。ケヤキの大木に隠れて撮影したものの、これ以上近付けば逃げるギリギリの近距離から撮影することができた。さらに桜に比べて、花の数が少ないのでメジロを主役に撮りやすい。
  • メジロの撮影その2・・・白系の桜が緑の葉を出し始めると、黄緑のメジロは保護色の役目を果たすため、メジロがどこにいるのかよく分からないような写真しか撮れない。上の写真では、ボリュームのある花の真ん中にメジロが埋もれてしまい、主役は桜の花に奪われてしまう。
  • メジロの撮影その3・・・桜の開花初期の頃は、白系の桜でも若干赤みが強く、かつ花に埋もれることも少ないので撮りやすい。逆光でもかなりの枚数を撮影したが、肝心のメジロが黒くつぶれてしまい全て✖であった。メジロは、大きな桜の木の周りを激しく動き回るので、順光から斜光までのポジションを確保するのに苦労する。
  • メジロの撮影その4・・・メジロは、緑の森の中では保護色だから見つけるも、撮るのも難しい。背後の赤はツバキ、桜は白系より赤みの強い花だと黄緑色のメジロが良く映える。2016年4月は、メジロを追い掛け続けたが、樹木の花にこれほど似合う野鳥はないように思う。
  • ヤマボウシの実を食べるメジロ(2016年9月11日、クリプトンの森)・・・ヤマボウシの実は、白神山地のサルが大好物。クリプトンの森には、サルがいないので、もっぱらヒヨドリとメジロが群がって食べている。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita