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野鳥シリーズ23 ミコアイサ、マガモ

INDEX ミコアイサ、マガモ
愛称はパンダガモ・ミコアイサ(カモ目カモ科)

 目先が黒く、まるでパンダのような顔をしたカモ類。オスは、その特徴的な羽色から「パンダガモ」の愛称で呼ばれ、身近な環境で見られるカモ類の中でも特に人気が高い。名前の由来は、オスの全身が白く、神子(ミコ)の白装束に見立てたもの。アイサとは、アキサリ(秋去り)が変化した語で、この鳥が現れると秋が去って冬になるという意味である。ユーラシア大陸で広く繁殖し、日本には冬鳥として普通に渡来する。
▲下がオス、上がメス

見分け方

 オスは、全身が白く、顔に特徴のある黒斑がある。クチバシは、青みのある灰色。メスは頭部が赤みのある褐色で頬が白い。
▲この世の鳥とは思えないほど、奇妙奇天烈なデザインに驚かされる。

全長 オス44cm メス39cm 翼開長61~70cm


 冬期はほとんど鳴かない。オスは「フィー」という口笛のように鳴き、メスは「クワッ、クワッ」と鳴く。
生 活

 主に湖沼、河川、池など淡水域に生息し、頻繁に潜水しながら小魚などを捕食する。渡来直後は、地味なメスばかりに見えるが、季節が進むにつれて、オスは白く美しい姿が目立ってくる。クチバシの先はカギ形に曲がり、縁にはノコギリの歯のようなギサギザがあるので、捕まえた魚を逃がさない役目をしている。
 ミコアイサは、日本に渡来するアイサ類の中では最も小型の種で、わずかの助走で水面が飛び立つことができる。繁殖地では、樹洞に営巣し、6~7個の卵を産む。
警戒心が強く、撮影が難しい野鳥の一つ

 白黒のはっきりした色彩は遠くからでも目立つからだろうか・・・とても用心深い鳥である。だから、個体数が多い割には、なかなか見る機会がない。遠く離れていても、人を見るとたちまち逃げ去ってしまうので、撮影が難しい野鳥の一つである。そんな時は、羽づくろいを待つのが良いらしい。一度羽づくろいを始めると、しばらく潜水することはなく、じっくり観察することができる。
▲なかなか撮れない正面方向からの飛び立ち。見事にキャッチアイが入っているので、目は黒ぶちの上の方にあるのが分かる。
マガモ
カモ類の代表種・マガモ(カモ目カモ科)

 日本に冬鳥として渡来する個体数が最も多く、よく目にするカモ類の代表。オスは、緑色の頭と黄色いクチバシが目立つ。一部本州の山地や北海道で繁殖するものもある。家禽としてよく飼育されるアヒルの原種。そのアヒルとマガモの交雑種が、無農薬の「アイゴモ農法」で知られる合鴨。マガモとカルガモとの交雑もあり、俗に「マルガモ」と呼ばれている。狩猟鳥。
見分け方(写真:マガモのツガイ)

 オスは、頭部が光沢のある緑色と黄色いクチバシが特徴で、見誤ることはない。メスは、全体に褐色、クチバシは橙色で上部は黒い。尾は白っぽい。
(写真:無料写真素材集より)

 カモの中では最もよく鳴く。オスは、「グァークワックワッ」と尻下がりの大声で鳴く。ほかに、「クワッ、クワッ」と小声でも鳴くが、メスも同じく低い声で鳴く。水面から飛び立つ時は「グェー、グェー」と鳴く。
全長オス61cm、メス53cm 翼開長85~99cm (写真:フリー素材無料写真より)
生活

 狩猟鳥のため、昼間は安全な水面で休んでいることが多い。夜間に湿地や水田、湖沼の岸などでエサをとる。地上を歩いて草の実をついばんだり、泳ぎながら首を水中に突っ込んで水草をとったりする。産卵期は4~7月、6~12個の卵を産む。抱卵日数は28~29日ほど。
動画 マガモ 母について泳ぐヒナたち(NHKクリエイティブ・ライブラリー)
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita