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野鳥シリーズ25 イソシギ、イソヒヨドリ

INDEX イソシギ、イソヒヨドリ
河原でも見られる身近なシギ・イソシギ(チドリ目シギ科)

 和名は「磯」シギだから海の鳥かと思うが、身近な河原でも見られるシギ類。風切の上部に白斑があり、飛ぶと白い翼帯が目立つ。水辺で尾羽を上下に激しく振りながら活発に動き回る。スズメとムクドリの中間の大きさ。九州以北に留鳥として分布し、本州中部以北では夏鳥として渡来する。日本で繁殖するが、北に行くほど繁殖例が多い。
見分け方

 上面の黒褐色と下面の白色の対照が鮮やかで、腹部の白い部分が翼の上に食い込んでいるのが特徴。クチバシは短めで、足も短く黄褐色。目の周りのアイリングは白い。


 飛ぶ時に、「チーリーリーリー」と鋭い声で鳴く。繁殖期には、「ツーチリリーツーチリリー」と少し変化をつけた声で鳴く。
全長20cm 翼開長29cm
生 活

 河原、湖沼、海岸、河口などの水辺の環境に生息し、水辺を飛ぶハエ類やユスリカなどの昆虫、トビゲラの幼虫などの水生昆虫を捕食する。低木や草の根元などを浅く堀って巣をつくり、枯れ草などを敷いて卵を4つ産む。親鳥は抱卵期から外敵が近づくと盛んに擬傷を行う。非繁殖期には、川や湖沼のほか、干潟や岩礁など海辺にも現れる。

 飛ぶ時は、翼を下げた状態で、先端を細かく震わせながら、水面スレスレを直線的に飛ぶ。あまり遠くには飛ばない。他のシギ類の多くが群れで行動するのに対して、イソシギは単独行動を好み、見かけるのは1~2羽。
イソヒヨドリ
イソヒヨドリ(スズメ目ヒタキ科)

 海辺の崖で朗らかにさえずり、青と赤のツートンカラーが美しい中形の鳥。磯場に棲息するヒヨドリに似た鳥というのが和名の由来。けれども、ヒヨドリとは無縁で、ヒタキ科の鳥である。日本では留鳥として全国の海岸で普通に繁殖する。
見分け方

 オスは、鮮やかな青と腹部が赤いレンガ色が最大の特徴で、見誤ることはない。メスは地味で、全身が褐色、下面には黒い横斑がある。


 雌雄ともに「ツツ、ピーコ、ピィー」「ヒーチョイチョ、ピーチョ」などと美しい澄んだ声でさえずる。地鳴きは、「ヒッヒッ」「グッグッ」など。
全長25cm 翼開長38cm
生 活

 崖や岩場のある海岸に棲息し、一年中単独かツガイで生活する。岩角や松の枝などにとまって地上を見張り、昆虫やフナムシなどを見つけると、舞い下りて捕食する。空中で飛ぶ虫をフライングキャッチすることもある。繁殖期にはツガイで縄張りをもち、オスは早春からさえずり始める。産卵期は3~6月。岩の隙間などに枯れ草や細根で巣をつくり、5~6個の卵を産む。

 近年は、岩礁から都市部、内陸部へと分布を広げ、ビルの屋上、屋根の隙間、通風口などに営巣する。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)     
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita