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野鳥シリーズ26 キビタキ、オオルリ

INDEX キビタキ、オオルリ
鮮やかな黄色と美しいさえずり・キビタキ(スズメ目ヒタキ科)

 鮮やかな黄色と橙色が新緑に映え、さらに腰を膨らませてさえずる声も美しいことから、人気の高い鳥である。「新緑の森の歌姫」などと形容されている。キビタキの英名「ナルシサス・・・」は、水面に映った自分の美しさに見とれて黄色が鮮やかな水仙になったギリシャ神話の美少年ナルシスト(自己陶酔者)と同じ意味である。確かに水面に映ったキビタキは美しい。
  • ゴールデンウィークの頃、夏鳥として全国の平地から山地の落葉広葉樹林に渡来し、樹洞の隙間に営巣する。秋遅くまで日本にとどまり、ミズキやツリバナの実などをついばんでから南下する。上の写真は、国際教養大学の桜並木にやってきたキビタキ。恐らく渡りの途中であろう。桜の花にも負けないくらい色鮮やかで美しく、バードウォッチャー憧れの鳥の一つ。(2016年4月21日撮影)
  • 見分け方・・・オスは黄色い眉斑と翼の白い紋、黄色い下面が特徴。喉は鮮やかな橙色。
  • メスは、オリーブ褐色と地味で目立つ模様はない。腰から尾羽は茶色。(2016年9月10日撮影、クリプトン樹木見本園)
  • ・・・「ピーリピッ、ポピピィ」「ポッピピピリ」を繰り返すなど、さえずりのバリエーションが豊かである。耳に入ったほかの鳥のさえずりを巧みにアレンジしてさえずることもできる。例えば「ツクツクオーシ」と、セミのツクツクボウシを思わせるさえずりを繰り返したり、「ケロロ」というカエルのような声まで披露してくれる。地鳴きは「ヒィ、ヒィ、ヒィ」と寂しげに鳴き、最後に「クルルルッ」と鳴く。
全長14cm、翼開長22cm (2016年4月27日撮影、秋田市植物園)
生 活

 空間の開けた明るい落葉広葉樹林の中間層を好み、飛ぶ虫を狙う。雑食性で、繁殖期は主に昆虫類をフライングキャッチで捕らえる。秋にはミズキなどの木の実をよく食べる。

 オス同士の争いは激しい。クチバシをパチパチ鳴らしたり、ブゥーンとハチの羽音のような声を出して追い回したり、地上に落下してもみ合ったりする。森が若葉に包まれると、子育てに大忙し。ヒナに運んでくるエサは、若葉についたチョウやガの幼虫が比較的多い。産卵期5~7月、卵数は4~5個、抱卵日数約13日、巣立ち日数約12日。
  • 秋田市植物園のミズバショウ群落の木にとまったカケスを撮影していたら、突然ツガイでやってきたキビタキ。(2016年4月27日撮影、秋田市植物園)
  • 秋、樹木見本園に姿を見せたキビタキ。恐らく渡りの途中であろう。(2016年9月10日撮影、クリプトン樹木見本園)
オオルリ
声も姿も美しい瑠璃色のオオルリ(スズメ目ヒタキ科)

 光沢のある鮮やかな瑠璃色と美声が人気の鳥。日本三鳴鳥の一つ。九州以北に夏鳥として渡来し、渓流沿いの林や湖、湿地に面した森など、水辺を好む。春と秋の渡り期には市街地の公園でも見られる。オスの上面は目が覚めるような瑠璃色で、頭の頂は淡い。顔から胸は黒く、胸以下の下面は白い。メスは、オリーブ褐色で、胸は褐色、尾羽は赤褐色、下腹は白い。
見分け方

 オスは、コルリに似るが、喉が黒く、体を立ててとまる。メスは、キビタキのメスなどに似るが、大きさはより大きく、背面は赤みがあり、喉と腹部は白い。
  • 構造色・・・オオルリのブルーは、色素によるものではなく、羽毛表面の微細な構造がつくりだす構造色である。


 繁殖期には、高い木の梢や枝先にとまって、「ピーリッ、ポピーリポピーリ、ジジーッ」「ピーリリリィリィ、チリチリッ」などと、よくとおる声でさえずる。地鳴きは、「カッカッ」と、かたいものを叩くような声で鳴く。
  • 全長16cm 翼開長27cm (2016年4月19日撮影)
生 活

 渓流沿いのよく茂った林に棲息し、枝先から谷間の上空に飛び出し、昆虫類をフライングキャッチで捕らえる。オスは、高い木の梢に姿を現し、大きな声でさえずる。巣のそばに人や外敵が近づくと、メスもさえずる。産卵期は5~7月、卵数は4~5個。子育てはメスだけだから、巣が無人になることがあり、ジュウイチなどに托卵されるケースもある。
オオルリ ブナの森に響く美しい歌声(森吉山)(NHKクリエイティブ・ライブラリー)
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「森の野鳥観察図鑑 鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita