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野鳥シリーズ28 コムクドリ、ムクドリ、サンコウチョウ

INDEX コムクドリ、ムクドリサンコウチョウ
  • クリーム色の頭と光沢のある翼・コムクドリ(スズメ目ムクドリ科)

     コムクドリは、その名のとおりムクドリより小さい鳥。体の上面が光沢のある濃い色に対して頭が薄いクリーム色につぶらな瞳のムクドリ類。本州中部以北で繁殖する夏鳥。春と秋の渡り期には全国でも見られ、ムクドリの群れに混じることもある。ムクドリより樹上性の強い鳥で、昆虫類や草、木の実を食べる。また、上の写真のように、果樹園で捨てられたリンゴに群れでついばみに来ることもある。右がオス、左がメスである。
  • 見分け方・・・体形はムクドリと同じだが、やや小さく、淡い色の部分が多い。クチバシと足は黒い。オスは、頬が赤茶色で翼に白斑がある。メスは、頭と下面全体が白っぽい。
  • ・・・さえずりは、「ピピ キュルキュルキュル」「ピキュル ピーキュルキュル」など。地鳴きは「キュル、キュル」、警戒時は「ジェーッ」と濁る。
  • 全長19cm 翼開長32cm (2016年4月24日、右がオス・左がメス)
  • 生 活 (2016年4月16日撮影、右がオス・左がメス)

     平地から山地の明るい落葉広葉樹林に棲息し、人里近くにも多い。梢近くで行動することが多く、枝から枝へと移動しながらクモや昆虫を捕食する。ヤマザクラなどの木の実もよく食べる。繁殖期にはツガイで生活し、樹洞やキツツキの古巣、別荘の戸袋などに巣をつくる。産卵期は5~7月、卵数は4~6個、抱卵日数約10日、巣立ち日数約14日。
  • 近くに樹洞がいくつかあると、それぞれにメスを呼び込んで一夫多妻になることがある。しかし、一番最初にかえったヒナの子育てはするが、その他の巣の世話はしなくなる。後からヒナにかえった巣ではメスだけが子育てをするしかなく、ヒナがエサ不足で餓死したりするという。何とも無責任なオスである。繁殖が終わると、夏の間は集団でねぐらをつくる。(写真:2016年5月9日、大潟村)
ムクドリ
  • 大きな群れをつくる身近な鳥・ムクドリ(スズメ目ムクドリ科)

     橙色のクチバシは長く尖っている。全体的に黒っぽいが額と頬が白い身近な鳥。和名は、ムクノキの果実を好んで食べることに由来する説と、樹木に集団でねぐらをとることから「群木鳥(むれきどり))」が転じたという説がある。子育ての頃(5~6月)は、農作物につく虫を大量に捕食することから「豊年鳥」などと呼ばれ益鳥扱いされたこともあった。しかし、最近は、フン害や果樹の食害など、否定的な報道が多くなった。
  • 見分け方・・・全身黒っぽく、顔に白い羽があり、腰と下尾筒が白い。クチバシと足は橙色。(2016年4月14日撮影)
  • ・・・「ギャア」「キュル キュル」「ジャージャー」「ツィーツィー」などと鳴く。(2016年4月16日撮影) 
  • 全長24cm 翼開長40cm (2016年4月14日撮影)
  • 生 活 (2016年4月24日撮影、ツガイのムクドリ)
     平地や盆地の人里付近に棲む鳥で、樹木の点在する村や市街地に多い。雑食性で、秋冬期にはムクノキ、エノキなどの実を好んで食べるほか、畑地や芝生の上を歩きながら昆虫類を捕食する。繁殖期はツガイで生活し、営巣場所は、樹洞や屋根の隙間、戸袋、巣箱など。産卵期は3~7月、卵数は4~9個。
  • ムクノキの実を好むことから、ムクドリの名がついたという。
  • 田んぼを歩きながら昆虫類を捕食するムクドリ (2016年3月18日撮影)
  • 集団でやってきて、神社の草むらを歩きながら、ミミズや昆虫類を捕食していた。(2016年4月16日撮影)
  • 虫をたくさんくわえて子育て中のムクドリ (2016年6月3日撮影)
  • ムクドリの給餌・・・左の親鳥が虫をくわえてヒナの元へ。右の大きく口を開けて、エサを催促するヒナ。(2016年6月15日撮影)
  • 繁殖期が終わると、群れで生活し、竹やぶなどに数千羽~数万羽の大きなねぐらをつくる。 (2016年7月撮影)
  • 数万羽の大集団でネグラを形成することから、鳴き声による騒音や糞の被害が全国各地から伝えられている。その騒々しさは、昔からあったらしく、江戸時代、既に「騒がしい鳥」のレッテルが貼られていた。(2016年3月下旬、動物園のエサに集団でやってきたムクドリとヒヨドリ)
  • 柿を食べるムクドリ
  • 動画「ムクドリの大群とヤマボウシの実 」
サンコウチョウ
  • コバルトブルーのアイリング・サンコウチョウ(スズメ目カササギヒタキ科)

     オスは、特異的に尾が長いが、メスは尾羽が短い。上の写真は、尾が短く体の上面が茶色なのでメス。共にアイリングとクチバシは鮮やかなブルーで美しい。夏鳥として渡来し、本州から屋久島までの各地で普通に繁殖する。5月下旬頃、スギ林の暗い沢沿いの林に行くと、「ツキヒホシ(月日星)、ホイホイホイ」という、分かりやすいさえずりが聞こえてくる。このさえずりが3つの光の鳥=三光鳥という名の由来である。平地から山地の針葉樹林に棲息し、付近に沢の流れがある薄暗いスギ林を好む傾向がある。
  • 見分け方・・・成鳥のオスは、小さい鳥の割には極端に長く見誤ることはない。メスは、オスと同じく、アイリングとクチバシが鮮やかなブルーであること。全長 オス45cm メス17cm 翼開長28cm。
  • ・・・オスは、「フィチィーヒーチィー、フィチィーチュー、ホイホイホイ」と鳴く。さえずる直前やさえずりとさえずりの間に「ギッ、ギッ」という濁った声で鳴く。地鳴きは、「ギィーギィー」。
  • 生活・・・スギの植林地でよく見かける。人里近くの大木が繁った社寺林でも繁殖することがある。飛んでいる虫をフライングキャッチで捕らえる。縄張り争いなどで興奮すると、ライバルと激しくさえずり合う。巣は、細かい枝の又やツルなど天敵が近づきにくい位置にカップ状につくる。枝や草などで編み、クモの糸でコケをつけて保護色にするなど、かなり手の込んだ巣をつくる。雌雄で交代しながら抱卵する。産卵期5~7月、卵数3~5個、抱卵日数約13日、巣立ち日数約10日。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「野鳥ウォッチングガイド」(山形則男ほか、日本文芸社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita