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野鳥シリーズ35 アカゲラ、アオゲラ、コゲラ

INDEX アカゲラ、オオアカゲラアオゲラコゲラ
後頭部とお腹が赤いアカゲラ(キツツキ目キツツキ科)

 日本産キツツキの中では最も良く知られており、平地から山地の林に生息している。北日本では普通に見られるが、九州・沖縄には分布していない。キツツキの仲間は、「○○ゲラ」という和名になっているが、そのゲラとは・・・キツツキは、お寺などの古い木造の建物をよくつつくことから「テラツツキ」、さらに「ケラツツキ」へと変化し、その省略形「ケラ」を濁音で呼ぶことが習慣化したとの説がある。

写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記
見分け方 (写真:右がオス、左がメス)

 オスは後頭が赤く、メスは黒い。顔から体下面は白く、肩羽に逆「八」の字に見える大きな白斑がある。幼鳥は雌雄ともに頭頂が赤い。オオアカゲラとコアカゲラに似ているが、オオアカゲラは一回り大きく、脇腹に黒い縦班があることで見分けられる。コアカゲラは、ずっと小さく、下尾筒に赤味がないことで区別できる。

オオアカゲラ・・・脇腹に黒い縦斑があり、背中には逆八の字がない。


 「ケッ、ケッ」と鳴くほか、飛翔中に「ケッケケケ」と鳴くこともある。警戒する時は「ケッケッケッ」とせわしなく鳴き続ける。ドラミングは、乾いた音を立てることが多い。
全長24cm 翼開長39cm (写真:ニリンソウとアカゲラ)
生 活 (写真:給餌交代)

 ドラミングは、ツガイ相手の募集や縄張り主張の意味があるらしく、オス、メスともに行い、その場所もほぼ決まっている。枯れて音が響きやすい幹を連続して叩く。木の幹に縦にとまり、クチバシで幹を叩いて中にいる昆虫やその幼虫を食べる。秋冬には、幹の中で越冬中の昆虫類のほか、木の実も少し食べる。枯れ木や生木の幹にクチバシで穴を掘って巣穴とし、4~6個の卵を産む。2週間ほどオスとメスが交代で抱卵する。
アカゲラを呼んで松枯れ防止

 アカゲラなどキツツキの仲間は「森の番人」とも呼ばれ、害虫を食べて木や森を守っている。例えば、松枯れの犯人は、北米原産の線虫・マツノザイセンチュウだが、それを運ぶマツノマダラカミキリをキツツキ類が食べているのだ。そのキツツキ類の中でもアカゲラは,カミキリの幼虫を捕食する能力が高く,アカゲラの生息密度の高い地域では,材内の幼虫の90%以上が捕食された例もある。

 秋田県の海岸クロマツ林の例では,アカゲラ用の巣箱や巣丸太を設置したところ,アカゲラの観察例が多くなり,4年後にはカミキリ成虫脱出率が設置前の半分になったという。アカゲラは巣箱を設置し誘致すると、利用巣箱から200m範囲内で30~70%のカミキリの駆除効果が期待できるとしている。
 ヒナが巣穴から顔を出してエサを催促する。「キョキョキョ・・・・」と、連続して鳴く。オスとメスが交互に食欲旺盛なヒナに給餌をする。
▲オスの給餌・・・背中の白い逆八字の模様がトレードマーク。
▲松ぼっくりの実をくわえて飛び立つオス。
 アカゲラは、ツガイで林の中に直径約200mの縄張りをもち繁殖する。縄張り争いでは、オス同士が追いかけ合うほか、向かい合って威嚇し合い、ドラミングをし合うこともある。巣づくりや子育てをオスとメスが交代するときなどにもドラミングを行う。
▲アカゲラの水浴び
▲水浴びの後、付近の木にとまり、羽を大きく開いて乾燥仕上げ
巣穴を提供する供給者

 アカゲラは、毎年新たな穴を掘る。主に枯れ木の幹に、クチバシで直径4cm、深さ30~45cmの巣をつくる。自ら幹に穴を掘ることができないシジュウカラ類やムクドリ類、リス類、モモンガ類、ヤマネ、コウモリ類などへ貴重な巣穴供給者になっている。
▲クマゲラとアカゲラのベストショット

 上の巣穴から顔を覗かせているのは、エサを待つクマゲラのヒナ。近くで子育て中のアカゲラがその下を飛んでいる。こういう写真は、狙って撮れるものではないだけに貴重だ。
アオゲラ
日本だけに生息する固有種・アオゲラ(キツツキ目キツツキ科)

 日本固有種の大形キツツキ。留鳥として本州から屋久島まで分布。日本列島には、アオゲラのほかに、北海道にのみ生息するヤマゲラがいる。両者の分布は重ならず、北海道と本州を隔てるブラキストン線によって棲み分けられている。両者はよく似ているが、北海道ならヤマゲラ、本州ならアオゲラと思って間違いないという。
見分け方

 本州以南では、黄緑色のキツツキはアオゲラだけ。北海道のヤマゲラと似ているが、アオゲラは腹の波状の縞模様があるが、ヤマゲラにはないので識別できる。オスとメスの見分け方は、オスは額から後頭まで赤いが、メスは後頭の一部のみが赤い。背面や翼、尾羽などが褐色みを帯びた緑色基調の色彩なのでアオゲラと名付けられた。


 繁殖期に「ピョー、ピョー、ピョー」と、笛のような大きな声で鳴く。地鳴きは「キョッ、キョッ、キョッ」と、短く鋭く鳴く。飛び立つ時は「ケレレレ」と鳴くことが多い。ドラミングは、「ドドドド」と、木の幹をクチバシで叩く。
全長29cm、翼開長49cm
生 活 

 平地林から山地林の比較的よく茂った林に生息するが、市街地の公園林などにも生息する。主に昆虫やその幼虫を木の幹の樹皮の間から取り出して食べる。秋冬には、カキやその他の樹木の実もよく食べる。
▲マユミの赤い実を食べるアオゲラ
 早春から繁殖行動をする。「ピョー、ピョー、ピョー」と鳴き交わす。林の生きた木の幹に巣穴を複数堀り、その中から繁殖に使う穴を選ぶ習性がある。5~8個の卵を産み、雌雄が交互に抱卵する。 
コゲラ
小さく最も身近なキツツキ・コゲラ(キツツキ目キツツキ科)

 スズメほどの大きさで、日本最小のキツツキ類。留鳥として北海道から西表島まで分布する。山地林から平地林、市街地の公園林にも生息し、都市部の街路樹で見かけることも多い。
見分け方

 コアカゲラに似ているが、コアカゲラは、北海道だけに生息し、オスは頭上が赤いこと、メスは脇腹に縦班がないことで識別できる。


 「ギィー、ギィー」ときしるような声でなくほか、「ギィーキッキッキッ」と甲高い声を出すことがある。ドラミングは、「トロロ」と聞こえる低く短い音である。
全長15cm 翼開長27cm
生 活 (写真:給餌)

 都市部の緑が増えるにつれて、コゲラは都市へ進出、繁殖するようになった。主に昆虫類をエサとし、秋冬でも樹皮の下から虫を探して食べる。ツガイは、直径300m~500mほどの縄張りを持つので、狭い緑地ではたくさん棲むことはできない。縄張り争いでは、キキキキと鳴いて首を振ったり、翼を半開きで震わせたりする。繁殖期、夜は主にオスが卵を抱き、昼はツガイが交代で抱く。ヒナは巣立っても、7ヶ月も親元を離れないものもいるらしい。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ、主婦と生活社)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記