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野鳥シリーズ37 カルガモ、オナガガモ

INDEX カルガモ、オナガガモ
  • 最も身近なカルガモ(カモ目カモ科)

     都市公園の池や田んぼ、湖沼などに生息し、一年中身の周りにいるカモ類。本州から南西諸島まで広く分布し、日本全国で数多く繁殖する。ガン・カモ類は、基本的に渡りをするが、本種は渡りをせず、日本に定住する留鳥。雌雄同色で、クチバシは黒く、先端に黄色い模様がある。かつて東京のオフィス街での子育てが話題となり、一躍有名になったことがある。マガモとの交雑個体がしばしば観察され、「マルガモ」と呼ばれている。狩猟鳥。
  • 見分け方・・・地味な羽色だが、クチバシの先端が黄色で、頭と過眼線が黒く、頬にも黒い線がある。足は橙色。オスの羽色は濃く、メスはやや淡い。
  • カルガモの飛翔(小泉潟公園女潟)・・・飛翔時の翌鏡は青色で、翼下面の白黒のコントラストが鮮明
  • 交雑個体「マルガモ」・・・上のカモは、マガモとカルガモの混血ガモ。クチバシ全体が黄色いし、頭から胸にかけてもカルガモらしくない色をしている。
  • ・・・「グェッ、グェッ」と濁った声で鳴く。水面から飛び上がった時には必ずと言っていいほど鳴き交わし、飛翔中にも同じような声で鳴く。
  • 全長 オス63cm メス53cm 翼開長83~99cm
  • 生 活

     繁殖期には、田んぼ、川、池沼などで生活し、水辺を歩いたり、泳いだりしながら、水中に首を突っ込むなどして、草の実や葉、水草、水生昆虫、貝などを捕食する。産卵期は4~7月。水辺近くの草むらや休耕した畑、竹やぶなどの乾いた地上に巣をつくり、10~12個の卵を産む。枯れ草や枯葉で皿形につくった巣の上に自身の羽毛を敷く習性は、他のガンカモ類と同じである。

     真冬に決まったツガイは、メスが卵を抱く頃には解消し、たくさんのヒナを連れて歩くのは常に母ガモである。孵化したヒナは、すぐに地上を歩くことができ、母ガモに導かれて水辺に向かう。越冬期には、他のカモ類と混ざって群れをつくり、湖沼、川で生活するほか、公園にもよく現れる。
  • カルガモが、時に十数羽のヒナを連れて歩けるのは・・・カモ類やキジ類のヒナは、孵化した後、羽毛が乾くとすぐに親について歩き、エサも自分で探して食べることができる。だから育児には手間が掛からない。その分、多くの卵を産んで抱卵することができる。
▲スイレンの花が大好きなカルガモ(千秋公園)
  • 水浴び・・・神社の池にツガイでやってきて、水浴びを始めた。カルガモの水浴びは、四方八方に飛沫をまき散らすほど凄まじい迫力がある。
  • 水浴びをした後、最後の仕上げは、羽を大きく広げ前後に羽ばたきながら水を弾き飛ばす。まるでキジの求愛ディスプレーに似ていてオモシロイ。
  • 八郎湖のカモ類ウォッチング・・・八郎湖では、10月になると、マガモ、カルガモ、コガモ、オナガガモ、ホシハジロ、キンクロハジロなど種類も数も多くなる。しかし、11月の猟期になると、急激に減少するので、カモ類のウォッチングは、猟期の一週間前頃が最も楽しめる時期である。
オナガガモ
  • 尾羽が長いオナガガモ(カモ目カモ科)

     オスの細長い尾羽が特徴的で、それが名の由来。冬鳥として全国に数多く渡来する。湖沼や河川、内湾などで普通に見られ、夜間には田んぼや湿地に出て採食する。首の長いスマートな体形で、メスの尾も他種より長い。狩猟鳥。(以下の写真全て:フリー素材無料写真より)
  • 見分け方・・・オスは、頭部がチョコレート色で、長い首の白色が頭部へ食い込む。尾羽は、その名のとおり細長いので容易に見分けられる。メスも他種より首と尾羽がやや長く、クチバシは黒く両側が灰色を帯びる。 
  • ・・・「ピリッ、ピリッ、ピリッ」と鳴いたり、「プリッ、プリッ」と小声で鳴き合うことが多い。メスは「クワッ、クワッ」と鳴く。
  • 全長 オス75cm メス53cm 翼開長73~94cm
  • 生 活

     越冬地では、湖沼や川などに生息し、長い首を活かして逆立ちの姿勢で採餌するのを得意とする。その際、他の淡水カモ類には届かないような水底からもエサを採ることができる。水草の葉や茎、水際の草の実などを主なエサとするほか、水生昆虫なども食べる。初冬の頃は、数羽のオスが1羽のメスを追い掛け回したり、体を反らして首と尻の模様を目だたせるなど、様々な求愛行動が見られる。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見分け 観察を楽しむ 野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「あきた探鳥ガイド」(日本野鳥の会秋田県支部編、無明舎出版)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)