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野鳥シリーズ41 ヒヨドリ

  • 縄張り意識が強く食欲が旺盛なヒヨドリ(スズメ目ヒヨドリ科)

     ヤブツバキ、梅、桜などの花の花粉や木の実を好み、いつもにぎやかに飛び回っている全身灰色の中形の鳥。全国で繁殖し、個体数が多い。和名は、「ピィーヨ、ピィーヨ」という鳴き声に由来する。縄張り意識が強く、他種はもちろん同じヒヨドリでも追い払ってしまう。雌雄同色。頭部の羽毛はぼさぼさしており、頬は赤褐色、尾羽は長い。胸以下には細かな白い斑がある。
    (写真:桜とヒヨドリ、高清水公園)
  • 見分け方 (写真:早春のヒヨドリ、秋田市寺内古四王神社)
     全身灰色で頬が茶褐色、頭部は色が淡く羽毛がボサボサしている。尾羽は長めで、胸以下には細かな白斑があり、下腹は白い。
  • ・・・樹上で「ピィーヨ、ピイーヨ」と大声で鳴き、飛び立つときは「ピシピシピシ」と鳴く。また、茂みの中から「ピーピョロギピョロギピョロギ-キョ」と尻下がりの複雑な声も出す。繁殖期には、「ピィッピイピイッ」と縄張りの中をうるさいほど鳴き叫ぶ。 (秋田市土崎神明社)
  • 全長28cm 翼開長40cm (クリプトンの森、ヤマボウシとヒヨドリ)
  • 欧米のバードウォッチャーに人気
     ヒヨドリは、日本列島や朝鮮半島など東アジアの極めて限られた地域にしか生息していない。その分布の中心は日本列島・・・だから日本にやってくる欧米のバードウォッチャーにはとても珍しい鳥で人気があるという。日本では人気のない鳥だが、身近な森林の豊かさを象徴する鳥だけに見直すべき鳥の一つであろう。(写真:ヤブツバキとヒヨドリ、秋田市補蛇寺)
  • 生 活 (写真:サクラの蜜を吸うヒヨドリ、国際教養大学桜並木)
     平地林から山地林、市街地、公園、人家の庭先など、樹木のある環境なら至る所に棲息している。樹木の込み合った枝の中やツルのからんだ所に営巣し、人里近くではビニールひもなどを巣材によく使う。産卵期は5~6月、卵数は4~5個。
  • 花の受粉に貢献・・・冬にツバキ、春に梅や桜の花の蜜が大好きで、顔を花粉だらけにして蜜をなめ続け、花から花へと移動しながら花粉を運ぶ。 (高清水公園)
  • 早く咲く梅の花も大好き (梅とヒヨドリ、秋田市土崎神明社)
  • ヤブツバキの花蜜をなめる (2016年4月14日、秋田市日吉八幡神社)
  • 逆さまになって桜の蜜を吸う。バックは八重咲きのツバキ。 (2016年4月19日、高清水公園)
  • 繁殖期には、コガネムシ、カマキリなどの大形昆虫を好んで捕らえる。また、他の鳥があまり食べない木の実もよく食べ、種子を遠くへ運ぶことに貢献している。良いことばかりではなく、畑の野菜や果樹に被害を与えることもある。(写真:スズメバチを捕らえたヒヨドリ、クリプトンの森)
  • ヒメアオキの赤い実を口にくわえて飛び去るヒヨドリ (2016年3月24日、小泉潟公園)
  • 動物園のエサに群がるヒヨドリ (2016年3月下旬、上野動物園)
  • ヒヨドリの水浴び (2016年4月14日、秋田市日吉八幡神社)・・・前日雨が降り、くぼ地に水がたまっていた。そこへヒヨドリたちが次から次へと集まり、水たまりに飛び込んでは水浴びを繰り返していた。鳥たちの水浴びは、実に気持ち良さそうに見えるから、見ているこちらまで幸せな気分になれる。
  • 新緑の森で虫を捕食 (2016年5月18日、秋田市植物園)
  • クリプトンの森でセミを捕食(2016年7月25日、樹木見本園)・・・ヒヨドリは花の蜜、果実、穀類のほか、小さなトカゲや昆虫に至るまで何でも食べる。夏、樹木見本園では、ヒヨドリがセミを追い掛けて飛ぶ光景がよく見られる。
  • ウワミズザクラの実を食べるヒヨドリ(2016年8月6日、樹木見本園)・・・ウワミズザクラの実は、鳥だけでなく、ツキノワグマにとっても夏のご馳走。
  • 人間には不味いノブドウの実を食べるヒヨドリ。(2016年9月8日、小泉潟公園)
  • ヤマボウシの実を食べるヒヨドリ・・・赤く熟すのを待ち切れず、ヒヨドリが群れでやってきてヤマボウシの実をついばむ。(2016年9月15日、クリプトンの森)
  • 実を半分ほど食べたら、残りを口にくわえて飛び立った。(2016年9月15日、クリプトンの森)
  • 渡り時の天敵はハヤブサ(写真:断崖絶壁の際を飛ぶハヤブサ)
     北方の個体は、秋に100~200羽という群れで渡りをする。群れはハヤブサなどの天敵に狙われるので、岬では飛び立ったり、戻ったりを繰り返してなかなか渡らない。海上に出ると、かたまり状になったり、大きな生きものがうねるように海面のスレスレを渡っていく・・・庭や公園で隣人のように人を恐れない鳥が、別人のような野生の姿をみせる。
  • 動画「桜の蜜を吸うヒヨドリ 」
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita