本文へスキップ

野鳥シリーズ42 シジュウカラ 

  • 黒いネクタイをしたシジュウカラ(スズメ目シジュウカラ科)

     胸に黒いネクタイのような模様を持った身近な小鳥。シジュウカラやヤマガラ、ヒガラなど「カラ」のつく野鳥をカラ類と呼ぶ。シジュウカラは、そのカラ類の中で最もよく見られる鳥である。繁殖期には、主に昆虫類を捕食し、秋にはミズキやハナミズキ、ハゼノキ、松ぼっくりなどの実も食べる。越冬期は、地上で採食することも多い。小さい鳥だが、高い場所から「ツツピー、ツツピー」とよく響く声でさえずるので見つけやすい。
▲オス  ▲メス 
  • 見分け方・・・黒いネクタイと白い頬がトレードマーク。黒いネクタイは、オスが太く、メスは細い。類似種のヒガラは、小さくネクタイ状の縦線がない。背は、黄緑色が鮮やか。飛翔中は、翼を閉じるので小刻みな波状飛行で、スズメとの違いが分かる。
  • 背は、黄緑色が鮮やかで美しい。大雨覆の羽先に白い帯がある。
  • ・・・繁殖期に木の梢で「ツーツーピィー、ツーツーピィー」「ピィーツーピィ、ピィーツーピィー」と繰り返しさえずる。さえずる途中で「ピィーツー」が「ツーピィー」と逆になることもある。地鳴きは、「チッチ、ジュクジュク」「ジェージェー」。 
  • 全長15cm 翼開長22cm
  • 生 活・・・落葉広葉樹林を好むが、平地から山地の林に広く生息し、樹木のある市街地でも見られる。春から夏には、枝葉の部分で昆虫類を探したり、秋から冬には、地上に下りて、落葉をはねのけて昆虫や小さな実を割って捕食する。繁殖期になると、ツガイで縄張りを持ち、樹洞や石垣の隙間などに大量の蘚類を運んで巣をつくる。巣箱もよく利用する。 
  • 3月頃になると、オスは色々な木の穴を覗いて回り、良さそうな穴をメスに紹介してメスにアピールする。卵数は最大10個と多く、それをメスがずっと抱卵するが、その間、オスは、メスに求愛給餌をし続ける。一夫一婦制ですこぶる仲が良い。繁殖期を終わっても離婚率は1割程度と低く、9割が同じツガイを保つという。
  • 桜の木の穴に営巣していたシジュウカラ・・・樹木見本園周辺の朽ちた桜の枝木を伐り落とした穴に営巣していた。ヒナの子育ても終盤に入り、ヒナたちの巣立ちが始まったようだ。
  • 産卵期は4~7月。卵数7~10個。抱卵日数約12日、巣立ちまでの日数約20日。繁殖期には主に昆虫類を捕食し、幼虫を1日に数百匹も食べる。
  • 巣箱をかけると積極的に利用することから、動画を含めた多くの観察記録がある。
  • 巣立ちしたばかりの幼いシジュウカラのヒナ・・・黒ネクタイが淡い幼鳥。「キキキー、キキキキー」と盛んにさえずり、親鳥にエサをねだる。
  • 雪が舞い散る中、地上に下りて昆虫や小さな実を割って捕食。秋冬期には、数羽から数十羽の群れをつくり、他のカラ類やエナガなどと混群となることが多い。食べ物を貯えたりしないが、コガラやヒガラが貯えるのを見ていて、かすめとったりする。
  • 縄張り争いでは、オス同士が自慢の黒ネクタイを見せつけ合ったりする。
  • 春の訪れを喜んでいるのか、枝の上で舞い踊る 。
  • シジュウカラには、群れの中に順位がある。群れのメンバーで古い者ほどランクが上で、メスよりもオス、若鳥より成鳥が上である。だから弱い者は、強いものに食事場所をすぐ明け渡す。
  • 飛翔・・・枝から枝へと忙しく動き回り、昆虫類を捕食
  • クチバシは黒く、細く尖っている。このクチバシを使って枯葉の下の昆虫を探したり、小さな木の実を割って食べたりする。
  • 大きな虫を捕らえ、安定した枝に移動して食べているところ
  • 毛づくろいをするシジュウカラ
  • 日本では4亜種が留鳥として周年生息する。
  • サクラが満開になり、羽を広げて喜んでいるようなしぐさをするシジュウカラ
  • シジュウカラは、くちばしが短く、花に顔を突っ込んでも蜜を吸えない。だから、花の横から子房に穴を開けて密を吸う。スズメと同じで、よく花を下に落とす。 しかし、これでは受粉できないからサクラにとっては迷惑千万であろう。
  • 落葉とシジュウカラ
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「野鳥ウォッチングガイド」(山形則男、日本文芸社)