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野鳥シリーズ46 カワラヒワ

  • 身近な小鳥・カワラヒワ(スズメ目アトリ科)

     翼に鮮やかな黄色い模様をもった身近な小鳥。河原、農耕地、公園、民家の庭先から山地林まで様々な環境で見られる。河原に生息し、アワやヒエを食べる鳥が和名の由来。留鳥または漂鳥として九州以北に生息。本州中部以北では、冬になると多くの鳥が暖かい地方に移動する。 
  • 見分け方・・・鮮やかな黄色い翼を持っているのが最大の特徴。その点ではマヒワに似ているが、カワラヒワは全体的に暗い色をしている。クチバシは肌色で太め。オスは頭部から胸がオリーブ褐色で、目の周囲は黒っぽい。背と体下面は茶色。メスは、全体的に色が淡く、頭部は灰色みが強い。 
  • 全長15cm 翼開長24cm
  • ・・・繁殖期には「キリキリコロコロ」と明るい声が普通で、この声に「チョンチョンチョン」「ビィー、ビィー」という声を組み合わせてさえずる。 
  • 生 活・・・市街地でも普通に繁殖する鳥で、公園の木や街路樹に営巣したりする。細根や枯れ茎、ビニールひもを材料に、枝の茂みに巣を作る。産卵期は3~7月。卵数3~5個。非繁殖期には、数十羽から数百羽の群れで生活し、地上で草の実ばかり食べるベジタリアン。
  • 巣材のビニールひもを集めるカワラヒワ 
  • 荒っぽい集団見合い・・・目立つ高い枯れ木などに多数のオスとメスが集合し、集団でお見合いを始める。ただし、メスに求愛できるのは強いオスのみ。キリリコロロチョンチョン・・・と鳴きながら、オス同士が戦い、勝ったオスから順番にメスを連れ出してツガイが成立する。残されたオスは再度求愛の順番を争う。
  • ルーズコロニー・・・ツガイは、巣のまわり直径30m程度の狭い範囲を縄張りにする。その小さな縄張りを幾つかずつ密集させて、全体としてルーズコロニーと呼ばれる緩やかな集団をつくる。こうしたルーズコロニーを形成することによって、天敵からの防衛や食べ物の発見が有利に働くからと考えられている。
  • 夫婦は仲睦まじく、卵を温めているメスにオスが食べ物を運んだり、ツガイで食事をするために縄張りを離れ、1kmも飛んだりする。
  • クチバシが太いのは、木の実や草の実が好きなためで、タンポポやヤグルマソウなどの種子を食べる。夏にはヒマワリの実も大好物で、花が咲いているうちから様子を覗きに来る。
  • コノデカシワの実を食べる(樹木見本園)・・・ヤマガラの群れに混じってカワラヒワがコノデカシワの実に群がり、球果の小さな隙間から種子を取り出し食べていた。
  • 水浴びをした後、枝の上で毛づくろいをしながら乾かしているところ
  • 満開の桜を楽しむカワラヒワ
  • タンポポのように見えるヨーロッパ原産の帰化植物・ブタナとカワラヒワ
  • カワラヒワのヒナ・・・下面に縦斑があるので、成鳥ではなくヒナであろう。
  • アトリ(左)とカワラヒワ(右)
  • カワラヒワの俳句
    しなやかなポプラの梢に川原鶸 葉貫琢良
    河原鶸群をこぼれて鳴きにけり 海上俊臣
    水あみてひらひら上がる川原鶸 村上鬼城
  • 動画「カワラヒワの採餌 」
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見分け 観察を楽しむ 野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)