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野鳥シリーズ53 キジバト、ドバト

INDEX キジバト ドバト
  • 山鳩とも呼ばれる身近な鳥・キジバト(ハト目ハト科)

     「デデッポッポー」と、のどかに鳴く身近なハト類。野生のハトでは最も身近な存在。本州から沖縄まで留鳥として分布するが、北海道では夏鳥。俗に「山鳩」とも呼ばれているが、山奥から都会に進出してきたのは1960年代頃。今では、平地農村地帯や住宅の庭先、公園などでも見られる。羽縁が赤褐色で、ウロコ状に見える模様がキジのメスの上面に似ているのが和名の由来。
  • 見分け方・・・翼が明るい赤茶色がウロコ模様、首には青と白の横縞模様、目の周りが赤いのが特徴。
  • 全長33cm 翼開長55cm
  • ・・・「デデッポッポー」と、のどかな山村を思わせる声で繰り返し鳴く。求愛の時には「ウグッ、ウグッ」と、低い声を出す。飛び立つ時に「プン」という声が出ることがある。  
  • 生活・・・林床や草地、農耕地などの地上を歩きながら採餌し、主に草や木の実を食べる。樹上で木の実を食べることも多い。繁殖期には、ツガイで生活。翼を水平に保ち、尾も開いて滑空するディスプレー飛翔を行う。木の枝の上に枯れ枝を積み重ねて浅い皿形の巣をつくる。オスは巣材を運び、メスは巣を組み立てる。産卵期は4~6月が中心だが、ほぼ一年中にわたって記録されている。6~8回も繁殖する例もある。卵数は2個。抱卵は昼間はオス、夜間はメスと分かれる。非繁殖期には、数羽から数十羽の群れをつくる。
  • 1年中子育てできる理由・・・鳥類は、ヒナが食べられるエサが豊富な時期にしか繁殖しない。しかしハト類は、親鳥が体内で分泌する物質・ピジョンミルクをヒナに与えるので、親鳥が十分に採食できれば、いつでも繁殖できる。
  • 求愛ディスプレー・・・喉を膨らませたオスがメスにしつこく求愛する。メスがそっぽを向いても諦めず、回り込んでは求愛ディスプレーを繰り返す。飛んで逃げられても追い掛けていくから凄い。
  • 平和の象徴・・・近代オリンピックでは、開会式で「平和の象徴」としてハトを飛ばす。この起源は、旧約聖書「ノアの方舟」・・・邪悪な人間を滅ぼす大洪水の終わりを告げたのがオリーブの小枝をくわえたハトだった。その後平和な世界になったことから、ハトが平和の象徴となった。 
  • 日本では戦勝の象徴・・・ハトは、軍神「八幡神」の使いと考えられてきた鳥である。八幡神は、源氏の守護神で、戦勝を導く神として篤く信仰していた。そのシンボルであるハトは、家紋の意匠に重用され、八幡神社の装飾などにも使われている。 
ドバト
  • 家禽化された後半野生化したドバト(ハト目ハト科)

     もともとユーラシア大陸に棲息するカワラバトから家禽としてつくられた。人を恐れず、市街地の環境にすっかり定着しているが、海外から持ち込まれた移入種。奈良時代には、既に日本に定着し、神社や寺院のお堂や搭などに棲みついていたという。お堂にいるハトだから「堂バト」→ドバト。 
  • ・・・「クックー」「ポッポー」など
  • 生活・・・穀類を中心に様々なものを食べる。キジバトと同じく、ピジョンミルクでヒナを育てる。エサが十分にあれば、1年を通して繁殖できる。 
  • 伝書鳩・・・通信手段がなかった時代、カワラバトは様々な情報を遠地に伝える翼として使われ重宝されたことから、家禽化された。古代エジプトの時代から伝書鳩として使われていたという。 
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「野鳥 ポケット図鑑」(藤本和典、主婦の友社)