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野鳥シリーズ57 ト ビ

  • 俗称トンビと呼ばれる身近なタカ類・トビ(タカ目タカ科)

     尾は広げると三味線のバチ形で、俗にトンビと呼ばれる身近なタカ類。飛翔時は、翼を水平に保ち、円を描く。数羽から、時にゴミ処理場、肉の加工場などでは大きな群れをつくる。日本では、九州以北に留鳥として分布。山地林から平地林、市街地、農耕地、海岸など、様々な場所に棲息している。
  • 見分け方・・・体色は淡い褐色の斑があり、M形に切れ込んだ尾、広げると三味線のバチ形を確認できれば他のタカ類と混同することはない。また、翼下面の白斑も見分けの決め手になる。
  • 全長 オス59cm メス69cm 翼開長157~162cm
  • ・・・木の枝や屋根の上にとまって、「ピィーヒョロロ」と鳴き、飛翔中にも鳴く。タカ類の中では、四季を通じて最もよく鳴くが、特に春に盛んに鳴く。幼鳥は、声が短く甲高い声で鳴く。
  • 生 活・・・主に動物の死骸を食べるが、ネズミやヘビ、カエル、ミミズ、鳥など、生きている小動物も捕食する。時々、ゆっくりとした羽ばたきをしながら、翼を水平に保って悠々と飛翔することが多い。エサを見つけると、急降下して脚でさらう。杭や岩の上など、安全な場所に移動し食べるが、時には飛びながら食べることもある。 
  • 繁殖期・・・平地や低山の大木の枝上に、オスとメスが協同で枯れ枝を積み重ねて皿形の巣を作る。4~5月頃、2~3卵を産む。卵は、2日おきに産むが、最初の卵を産むとすぐに温め始めるので、ヒナがかえるには何日かの差が生じる。育つ間に体格の差も広がっていく。タカ類では、遅れてかえったヒナは死ぬ場合もあるが、エサが比較的手に入りやすい死肉を主としているせいか、ヒナたち全員が巣立つことが多いという。抱卵日数は約1ヶ月、巣立ち日数は約40日。
  • トビ柱
  • 童謡『とんび』・・・飛べ飛べとんび 空高く/鳴け鳴けとんび 青空に/ピンヨロー ピンヨロー/ピンヨロー ピンヨロー/楽しげに 輪をかいて・・・この童謡のタイトル「トンビ」という俗称は、江戸時代からあったという。
  • 食性はカラスと似ている・・・トビとカラスは、一定の棲み分けはしているようだが、熾烈な争いも、しばしば観察される。また、魚類を好むことから、海岸線では、カモメ類とエサを奪い合う様子も見られる。
  • サクラとトビ
  • 鳶に油揚げをさらわれる・・・この諺どおり、人間のすることをよく観察していて、人の捨てるものに関心を寄せている。特に人慣れしたトビは油断ならない。弁当や肉まん、子どもが持っている菓子、ペットの小型犬までさらう事例が発生している。
  • 「鳶が鷹を産む」・・・他の勇猛なタカ類に比べ、残飯や死骸をあさることから、タカ類の中では一段低くみられる印象がある。それが、平凡な親から優れた子が生まれる諺の由来になっている。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
「野鳥 ポケット図鑑」(藤本和典、主婦の友社)
写真提供 土谷諄一 参考プログ「Photo of Akita