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野鳥シリーズ58 ヒバリ、シメ、イカル、ビンズイ

INDEX ヒバリ、シメイカルビンズイ
  • 春を告げるヒバリ(スズメ目ヒバリ科)

     桜よりも早く春を告げる小鳥。晴れた日に、天高く舞い上がり鳴くことから、「日晴(ヒハル)」が語源。他に「ピーパル、ピーパル」とさえずる声に由来するとの説がある。留鳥として本州以南に広く分布し、北海道では夏鳥。積雪が多い地域の個体は、冬季に暖地に移動し越冬する。近年、畑地面積の減少などに伴い急激に減っているという。
  • 見分け方・・・目立つ冠羽、白い眉斑、上面は褐色で黒斑がある。胸に縦斑、下面は白い。雌雄同色で全体的に地味な色は、地上で暮らす保護色のため。
  • ・・・「ピュルリ、ピュルリ」「ピーチュクチュクチュク」「ピールル」など、主に飛翔中にさえずるが、杭や石の上にとまってさえずったり、歩きながらさえずることもある。地鳴きは「ピルッ、ビルッ」。
  • 全長17cm 翼開長32cm
  • 生 活・・・農耕地、草地など開けた場所を好み、地面を歩きながら主に草の実や昆虫を捕食する。繁殖期にツガイで縄張りを持つ。オスは、春早くから上空を飛翔し、長時間さえずって縄張りを宣言する。草の根元などに浅い穴を掘って枯草を材料に巣をつくる。産卵期は3~7月、卵数は3~5個。警戒心が強く、特にメスは、エサをもって巣に戻る際、巣から3m以上離れた場所に降り、歩いて移動する。
シ メ
  • 太いクチバシで固い種子を割るシメ(スズメ目アトリ科)

     ずんぐりした体と大きなクチバシが特徴。太いクチバシは、樹上に残った種子や地上に落ちた種子をすりつぶすのに向いている。かなり固い種も割るので、近くにいるとパチッと殻を割る音が聞こえる。主に冬鳥として全国に渡来するが、北海道、本州中部以北では局地的に繁殖する。渡りの時には群れをつくるが、冬は単独でいる場合が多い。
  • 見分け方・・・太いクチバシは肉色、尾が短くずんぐりした体形、茶色い地味に鳥。目先から喉は黒い。白い翼帯があり、飛ぶとよく目立つ。
  • ・・・さえずりを聞くことは繁殖地でさえ稀。「チチッ」「ピチッ」。飛びながら「スイー」「チー」といった声も出す。
  • 全長19cm 翼開長31cm
  • 生 活・・・平地から山地の落葉広葉樹林に生息し、冬季は市街地の公園でも見られる。カエデの種子やヤマハゼ、エノキ、ムクノキなどの種子を好んで食べる。繁殖シーズンの初夏には昆虫も食べる。越冬地では、10数羽の小群をつくるが、普通は単独で見られる場合が多い。稀に100羽前後の大きな群れでいる例もある。産卵期は5~6月、卵数は3~6個。
  • ツグミとシメ
  • 動画「シメの採餌 」
イカル
  • 黄色く太いクチバシが目立つイカル(スズメ目アトリ科)

     よく目立つ黄色いクチバシは、体に対してアンバランスなほど大きい。顎から頭頂にかけて光沢ある濃紺。留鳥または漂鳥として九州以北に分布。冬季は低地や暖地に移動する個体が多く、数羽から数十羽の群れを形成する。秋から春は、樹上や地上の木の実、草の実を食べるが、ヒナには昆虫類のエサも与える。産卵期5~7月、卵数3~4個。全長 23cm 翼開長33cm。
  • ・・・繁殖期に「キィーコーキィー」「キョコ、キィー」「キキキィーコ、キコキコキィー」などと、明るく朗らかな声でさえずる。地鳴きは「ケッ、ケッ」「」キョッ、キョッ。
  • 動画「イカル、桜の木の下で採餌 」
ビンズイ
  • さえずり飛翔を行うビンズイ(スズメ目セキレイ科)

     空中でヒバリのようにさえずるセキレイ類。平地から高山帯の草原や針葉樹林帯で繁殖し、暖地で越冬する。雪が消えた7月頃、高山のお花畑の花陰で子育てをする。さえずりが「ビンビン、ヅィヅィ」と聞こえることが和名の由来で、飛翔時によく鳴く。 飛びながら歌うところがヒバリに似ていることから、「キヒバリ」と呼ばれることもある。
  • 見分け方・・・タヒバリによく似ているが、体の上面はオリーブ緑色を帯び、頬の後方に白く円い斑がある。 
  • ・・・繁殖期は、低木の上や針葉樹の上などで「ツィツィツィ、チーチーチー、ズィーズィーズィー」と鳴き、飛翔しながらさえずる「さえずり飛翔」を行う。地鳴きは「ツィー」「ズィー」。
  • 全長16cm 翼開長26cm。
  • 生 活・・・オスは木の梢や岩角でさえずり、よく空中に飛び上がってさえずりながら別のソングポストへと移る。巣は地上や林道横ののり面などに、草の茎、松葉などを材料に椀型につくる。産卵期は5~8月、卵数は3~5個。冬季は平地や暖地に移動し、公園や庭でも見ることができる。越冬中は松林を好み、小群を形成して尾羽を上下に振りながら地面をトコトコ歩き、種子などを食べる。
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ編著、主婦と生活社) 
「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)