野鳥シリーズ67 マミチャジナイ
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- 大形ツグミ類では珍しい旅鳥・マミチャジナイ(スズメ目ヒタキ科)
主に秋の渡りの時期に観察される。春は日本海側の離島で目にすることが多く、秋はほぼ全国の平地林から山地林の木の実に群れていることが多い。秋には、数十羽ほどの群れをつくったり、ツグミ、アカハラなどと一緒に群れを形成することもある。ただし日本列島には、渡りの中継地としてのみ利用する。特殊な例を除けば、日本の大型ツグミ類で旅鳥なのはマミチャジナイだけという珍しい鳥である。雑食性で、昆虫類、植物の実などを食べる。
- 写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記」
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- 名前の由来・・・古い言葉で、マミは眉を、チャは茶、シナイはツグミ類を意味することから、「眉のある茶色のツグミ類」というのが名前の由来。マミチャジナイは、鳥名に古い日本語が生きている好例である。
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- 見分け方・・・一見アカハラとよく似ているが、♂♀ともに目の上下に明瞭な白斑があるので区別できる。
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- 参考:アカハラ・・・目の周りは黒っぽく、白斑はない。
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- ♂の特徴・・・頭部が灰色で眉斑が白く、クチバシ基部から目の下にも白斑がある。体下面は橙色で、腹中央は白い。
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- ♀の特徴・・・頭部の灰色が淡く、胸から脇も淡い色をしている。
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- 旅鳥(たびどり)・・・旅鳥とは、渡りの中継地として利用するだけで、繁殖も越冬もしない鳥のこと。バイカル湖からカムチャツカにかけての地域で繁殖し、中国南部、フィリピン、インドネシアなどで越冬する。日本には渡りの途中、旅鳥として現れるが、稀に西南日本で越冬することがある。
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- 観察時期・・・シロハラ、ツグミなどより早く、9月下旬から10月上旬に姿を見せる。ミズキやナナカマドなどの木の実をよく食べる。市街地の公園などにも姿を見せることがある。
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- 木の実を好む・・・ナナカマドやコブシ(上の写真)、ツルマサキ、ミズキ、コシアブラなどの木の実を好んで食べる。木の実が豊富に実る樹木には群れで現れることがある。
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- ツルマサキの赤い実・・・実は最初黄白色で、熟すと中から赤い実が飛び出してくる。11月頃に熟すが、高地では10月頃熟す。渡来直後のマミチャジナイ、アカハラなどが採食する。長野県戸隠高原では、旅鳥のムギマキが採食することで有名。
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- 市街地の公園・・・下草の少ない地上をチョコチョコと歩いたり、ピョンピョン跳ね歩いたりして、昆虫やミミズなどを探して食べる。
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- 声・・・渡りの途中では、さえずりを聞くことがほとんどない。繁殖地では「キョロン、ホィチリリチィチリリー」、「ホィヨ、チリリー」などと明るく朗らかにさえずる。飛び立つ時の地鳴きは「ツィー」。
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参 考 文 献 |
- 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
- 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
- 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
- 「野鳥と木の実と庭づくり」(叶内拓哉、文一総合出版)
- 写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記」
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