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野鳥シリーズ69 ノビタキ

  • 夏の高原を代表するノビタキ(野鶲、スズメ目ヒタキ科)
     夏鳥として中部地方の高原と北海道の草原に渡来して繁殖する。その他の地域では、渡り期だけに見られる。その際、日本海側の島や水田、畑、河川敷など平地でも見ることがある。高原や草原、牧草地など開けた場所を好む。そうした場所の目立つ草木や杭などの天辺にとまる傾向がある。主に昆虫類を捕食する。
  • 写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記
  • ♂の特徴・・・白黒のツートンカラーで、胸元は明瞭な橙色があるのが特徴。黒い翼に白斑がある。繁殖期後になると換羽し、秋には黒い頭の♂は見られなくなる。♂は♀のような体色の冬羽になる。 
  • ♀の特徴・・・頭部と体上面、尾羽はスズメに似た褐色で、胸は淡い橙色。秋の渡り期には、体下面の橙色みのある冬羽個体が見られる。 
  • 名前の由来・・・野を駆け回るヒタキの仲間だから。 
  • 全長13cm、夏鳥 
  • 生息地(写真:エゾカンゾウとノビタキ)・・・北海道では、牧場や原野、山地の草原などに広く生息し、平地でも個体数の多い鳥の一つ。本州では長野県霧ケ峰や日光小田代ヶ原のような高原が代表的な生息地。背丈の低い斜面を特に好む。 
  • 主に昆虫食・・・低木や大きな草に止まり、空中を飛んでいる虫をフライングキャッチしたり、地上を歩いて捕食する。 
  • ・・・繁殖期は、♂が草の上や低木、電線などに止まって「チチョーチィ、チュウチューイ」、「フィフィーチョ、チョチョリリ」などと、透き通った声でさえずる。その美しいさえずりは、フルートの音に例えられる。飛翔時は「ヒッ、ヒッ、ジャ、ジャ」という声で鳴きながら、草原内を移動する。 
  • 縄張り・・・ツガイで縄張りを持ち、♂は低木の頂などでさえずり、しばしば飛びながら空中でさえずる。 
  • 産卵・・・産卵期は5~7月。地上の草の根元や岩陰などに、枯れ茎や細根で椀形の巣を作る。卵数は5~7個。 
  • 給餌・・・トゲのあるハマナスの枝の上で、餌待ちのヒナが親が飛んで来る姿を見つけて大口をあける。
  • イモムシを与えようとやってきたノビタキの♀
  • エゾカンゾウの花の上で給餌する♀
  • エゾスカシユリが咲く傍らで、♂の給餌
  • ♂が給餌した後もエサをねだるヒナ。幼鳥は、食欲旺盛だから成長も速い。
  • 春秋の渡り期・・・平地の水田や川原などで普通に観察される。 
  • 托卵を巡る攻防 カッコウVSノビタキ・・・カッコウは、ノビタキやオオヨシキリ、モズなどの巣に自分の卵を産み込み、育てさせる托卵という習性がある。カッコウの♀は、ノビタキの巣の様子をずっと観察して、宿主の産卵が始まると、すばやく自分の卵を1つだけ産み込む。その際、カッコウが宿主であるノビタキに見つかってしまうと、激しく攻撃される。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版)
  • 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)
  • 写真提供:髙久 健氏 参考ブログ「ケンさん探鳥記