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野鳥シリーズ72 アオバズク

  • 羽角のない坊主頭と黄色い目・アオバズク(フクロウ目フクロウ科)
     頭巾をかぶったような坊主頭と黄色い目をしたフクロウ類。夏鳥として九州以北に渡来。平地林や低山林、市街地の公園林や社寺林に生息し、樹洞に営巣する。夜行性だが、比較的視界の良い場所に止まっていることが多く、見つけやすい。主にカブトムシやセミ類などの昆虫を捕食する。奄美諸島以南、琉球諸島にかけて、亜種のリュウキュウアオバズクが留鳥として生息している。
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • 特徴・・・「ズク」の名がついているが、耳のような羽角がない丸坊主で、フクロウの仲間にしては頭が小さく、顔盤も発達していない。一見、小型のタカ類に見える。顔が黒褐色に目の虹彩は黄色でよく目立つ。背面は一様に黒褐色で、腹面は白地に黒褐色の太くて粗い縦斑がある。 
  • 名前の由来・・・青葉の頃に夏鳥として渡来することによる。その名は、江戸時代から知られており、別名コズク、イウヅク、ワナガツクなどとも呼ばれていた。 
  • 全長 29cm 
  • 5月下旬ころからよく鳴き始め、人目につきやすくなる。都会の神社などでも見ることがある。 
  • ・・・繁殖期の夜間に、「ホッホッ、ホッホッ、ホッホッ」と2音ずつ区切って鳴き、10声くらい鳴くと、少し間をおいてまた鳴く。昔からフクロウと間違えられたが、フクロウよりずっと小さい。 
  • 食性・・・主に昆虫を捕食するほか、両生類、爬虫類、小型の鳥類、小型哺乳類など広く捕食する。 
  • 渡りの時期は・・・カブトムシやセミ類が発生していない渡り期は、大型の蛾・オオミズアオなどをよく食べるという。 
  • 営巣・・・平地林や低山林、市街地の公園林、社人林の樹洞に営巣する。
  • 卵数、抱卵・・・樹洞に2~5個の卵を産む。♀が主に抱卵し、♂は巣穴の見える枝にじっと止まって見張りをする。 
  • 孵化がすんで4~5日経つと、♀は巣から出て♂と見張りを代わり、♂はより離れた所へと移動する。 
  • ヒナ・・・夕暮れ近くになると、「チリリ、チリリ」と虫のような声で鳴き、親にエサをねだる。親鳥はともに巣近くで蛾やセミなどの大型昆虫のほか、スズメやツバメ、カワラヒワ、ムクドリなどの小鳥やカエル、コウモリ類なども捕らえ、ヒナに運ぶ。日没後1時間ほどと日の出前1時間ほどが最も活発である。 
  • 親鳥は、ヒナの巣立ち後も数日間は近くにとどまるが、日が経つにつれて遠くへ移動する。秋の渡りの頃に姿を見ることは少ない。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
  • 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
  • 「くらべてわかる野鳥」(叶内拓哉、ヤマケイ文庫)  
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記