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野鳥シリーズ83 センダイムシクイ

  • 最もよく見かけるムシクイ類・センダイムシクイ(仙台虫喰、ムシクイ科)
     広葉樹林の枝先の葉の間でさえずる、若葉そっくりのムシクイ類。夏鳥として九州以北に渡来し、平地から山地の落葉広葉樹林などに生息する。春の渡り期にはよく囀るが、秋の渡り期には囀らない。繁殖期が終わると、8月中旬頃から山を下りはじめ、9月中旬までに南に渡ってしまう。だから10月にムシクイ類をみかけたら、ほとんどがメボソムシクイだと言われている。盛夏には、よくカラ類に混じって行動しているのが見られる。ツツドリによく托卵されることが知られている。秋田では、身近な千秋公園や高清水公園、小泉潟公園などでも見られる。 
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • 特徴・見分け方・・・上面は、他のムシクイより緑色味が強く、下面はメボソムシクイほど黄色味がない。白い眉斑が明瞭。頭の中央に灰色の頭央線があるが、はっきりしないなど個体差がある。 
  • 名前の由来・・・宮城県の仙台とは関係がない。江戸時代中期からこの名で知られている。その「せんだい」とは、囀りのチョチョビーに「千代千代」の漢字が充てられ、それが「せんだい」と読まれ、さらに「仙台」の漢字に変更されてしまった。「むしくい」は、虫喰いの意味である。 
  • ウグイスムシクイ・・・江戸時代には、外見や動きがウグイスに似ていることから、ウグイスムシクイとも呼ばれた。 
  • 全長 スズメよりひとまわり小さい13cm
  • ・・・繁殖地では、木の茂みを移動しながら「チョチョ、ビィー」とか「チヨチヨチヨ、ビィー」などと囀る。この声を「焼酎一杯、グィー」あるいは「鶴千代君」などと聞きならされている。地鳴きは「フイッ、ムフィッ」。 
  • 生息場所・・・主に低山帯の落葉広葉樹林に生息する。崖地に営巣する習性があることから、傾斜の急な林を好む。ただし小規模な林には見られず、天敵から身を隠すために、林床にヤブのある林を必要とする。 
  • 姿が見えず、生態は不明な点が多い・・・常に林の中に生息し、広葉樹の茂みの中などに隠れてさえずるなど、目立つ場所になかなか出てこないので、姿がなかなか見られない。ツツドリに托卵されることは知られているが、本種の生態については不明な点が多いという。 
  • 食性・・・枝から枝へと移動しながら、葉や枝についている昆虫類を捕食する。他のムシクイ類と同じく、枝から見上げるように虫を探し、上の葉の裏にパッと飛びついて捕らえることをよく行う。 
  • 営巣・・・草の根元や崖の窪みに蘚類や枯れ葉などで横に出入り口のある球形の巣を作る。 
  • 産卵期は5~6月、卵数は4~6個、卵の色は純白で斑紋がない、抱卵日数は13日ほど。巣立ち日数は約14日。ツツドリの分布地域では、しばしば托卵される。 
  • 一夫一婦で、♂も育ヒナに協力する。孵化直後は、♂が♀とヒナの元にエサを運ぶ。繁殖期の後期は、家族で小さな群れをつくって過ごす。 
  • 水浴び
 参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)
  • 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
  • 「鳥のおもしろ私生活」(ピッキオ、主婦と生活社)  
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記