本文へスキップ

野鳥シリーズ88 ムギマキ

  • 麦まきの頃に渡るムギマキ(麦蒔、ヒタキ科)
     シベリア中央高地南部からウスリーとサハリンで繁殖し、中国南部やカリマンタン島などに渡って越冬する。日本には稀な旅鳥として、春と秋の渡り期に全国の平地林から山地林で見られる。春は日本海側の島に多く、フライングキャッチを交えて昆虫類を捕食する。秋の渡り期には、マユミやサワフタギなどの木の実にやってくる。
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • 特徴・・・♂は一見キビタキに似ているが、眉斑が白い点で識別できる。腹面は橙褐色で、キビタキのような黄色みがない。 
  • ・・・頭から上面は緑色を帯びた褐色で、腹面が橙黄色である点が、♀のキビタキの泥白色とは違うので識別できる。
  • 名前の由来・・・秋の麦まきの頃に渡ってくることから。江戸時代中期からコツバメの名で知られており、江戸時代後期からムギマキとも呼ばれるようになり、大正時代以降はもっぱらムギマキと呼ばれている。
  • 全長 13cm 
  • ・・・「ピイヨッピイヨッ、ピチュリピチュリ」 
  • 観察される場所・・・日本では、海辺や山麓の松林で観察される例が多い。時には市街地の公園にも飛来する。 
  • フライングキャッチ・・・他のヒタキ類と同様、枝から飛び上がり、飛んでいる虫をフライングキャッチして採餌する。 
  • 秋の渡り期・・・マユミやサワフタギ、カラスザンショウ、ミズキ、ツルマサキなどの木の実に集まる。 
  • ホバリング・・・他のヒタキ類やシジュウカラ、ツグミ類などもやってくるが、本種は頻繁にホバリングするので、見つける手がかりになる。 
  • 繁殖期・・・エゾマツやトドマツなどの亜寒帯針葉樹林に生息し、ツガイで縄張りを持つ。♂は木の梢でさえずる。高木の枝の上に、蘚類を主な材料に鉢形の巣をつくる。卵数は4~8個。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「里山の野鳥百科」(大田眞也、弦書房)
  • 「野鳥観察図鑑」(杉坂学、成美堂出版) 
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記