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野鳥シリーズ93 ヨシゴイ

  • ロクロ首のように顎を伸ばして魚を捕るヨシゴイ(葦五位、サギ科)
     ヨシ原に棲む日本最小のサギ類。夏鳥として全国に渡来し繁殖するが、北海道では少ない。西南日本では越冬する個体もある。主に待ち伏せ型の狩りで、ロクロ首のように長い顎を伸ばして小魚などを捕食する。生い茂ったヨシ原に身を潜めて暮らしているので、人目につきにくい。しかし、夏の早朝、ハス田や田んぼなどで小魚やカエル、エビなどを捕食する姿を見かけることがある。時にヨシ原の上を飛翔し、ハスの葉を軽快に渡り歩く。(写真出典:ウィキメディア・コモンズ
  • 特徴・・・♂は頭頂に青みがあり、体上面は褐色。♀の頭頂は青みがないか、あってもわずか。首から胸にかけて褐色の縦斑が5本前後ある。飛ぶと、黒い風切が目立つ。 
  • 名前の由来・・・ヨシ原に棲むゴイサギだから。 
  • ・・・日中はほとんど鳴かないが、繁殖期になると夜中に「ウー、ウー、ウー」とか、「オーイ、オーイ」と、人を呼び止めるような声で鳴く。その不気味さから、「幽霊鳥」と呼ばれていた。 
  • 生活環境・・・池や沼、川岸、休耕田などで、アシ、マコモ、ガマ類などの背の高い単子葉植物が茂った湿地に生息する。ヨシの茎を足指でつかんで茎から茎へと巧みに歩き、草の上スレスレを飛ぶ。 
  • 120gと軽い・・・ヨシゴイは、見た目よりずっと軽く、体重は120gほどしかない。この軽さと長い足指を使って、バランスを取りながらハスの葉の上や小さな葉の上も平気で歩くことができる。またヨシの茎につかまって体重を支えることもできる。 
  • 食性・・・主に魚類のほか、ザリガニ、小型エビ、水生昆虫、カエルなどを食べる。ヨシの茎などに両足でつかまって、獲物が真下を通るのをじっと待つ待ち伏せ型の狩りをする。 
  • 繁殖期・・・水の中から草が生えている所に好んで営巣する。巣は、ヨシやマコモの茎や葉を折り曲げて束ねたもので皿型につくる。5~8月、卵数5~6個、抱卵日数約17~19日。巣立ちまでの日数は3週間ぐらい。 
  • 擬態・・・外敵が近づくと、クチバシを上に向けて首を伸ばし、じっと動かなくなる。すると周りのヨシに完全に溶け込む。また、首の縦斑がヨシの茎に紛れることから、自分の姿をヨシに見せかける擬態を行う。さらに風に揺れるヨシに合わせて、体を振ることもある。だから「ヨシ原の忍者」などと呼ばれている。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)
  • 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)