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野鳥シリーズ95 バン、オオバン

  • 赤と黄のクチバシが目立つバン(鷭、クイナ科)
     黒い体にクチバシの赤と黄色、脇と下尾筒の白色が目立つクイナ類。関東地方以北では夏鳥、それ以南では留鳥として分布。湖沼、河川、水田など淡水の湿地に生息する。草むらや藪に隠れる傾向のあるクイナ科の仲間としては、比較的明るい場所にも出てくる。数も多いので、観察機会は最も多い種。雑食性で水生植物、昆虫、貝類などを食べる。狩猟鳥。 
  • 特徴・・・ずんぐりとした体形で、全身が黒っぽく、顔の前側部分の額板とクチバシは赤く、先端は黄色。脇には白い帯状斑がある。足指は長い。オオバンは、額板とクチバシが白いので見分けられる。 
  • 名前の由来・・・定説はないが、田んぼに棲み、いつも田んぼから離れないので、田を見守る番をする鳥の意味だと言われている。 
  • ・・・「クルルッ、クルルッ」「キュック、キュック」と鳴き交わすことが多い。ディスプレー時には「キュルク キュルク キュルク」とテンポを速めて鳴く。飛翔時には「キュッ、キュッ」と鳴くことがある。 
  • 生活環境・・・沼や池、湿地、水田などでよく見られる鳥。比較的人を恐れず、開けた場所にもよく出てきて活動する。公園などの池で生活するものは、人に慣れているものもいる。 
  • 食性・・・浅い水辺を歩いて昆虫や植物の実などを探して食べる。 
  • 頭を前後に振って泳ぐ・・・足に水かきがないので、尾羽を上げ、前のめり姿勢で、反動をつけるように頭を前後に振って泳ぐ。それでもなかなか前に進まない。泳ぎは苦手?。 
  • 繁殖・・・水辺の草やヨシ原などに枯れ草を積み上げて巣をつくる。卵数5~12個。
  • ヒナ・・・孵化したヒナは黒い綿毛に覆われていて、クチバシは親と同じく先が黄色で基部が赤い。暖地では、年に2~3回繁殖し、最初に孵った若鳥が、次に孵化したヒナにエサを与えたりして親の手伝いをする。 
  • 狩猟鳥・・・江戸時代の「本朝食鑑」には、「カモがいなくなった初夏に捕獲する」旨記載があり「味はよい」とある。他の水鳥と同じく、古くから夏場のたんぱく源として活用されている。 
オオバン
  • 全身が黒く、額が白いオオバン(大鷭、クイナ科)
     全身が黒くずんぐりした体形で、額板とクチバシが白いクイナ類。もともと関東地方以北の湖沼や川、池などで繁殖していた。近年は増加傾向にあり、留鳥もしくは冬鳥として全国の水辺で見られる。植物食傾向の強い雑食で、主に水生植物を好み、潜水や逆立ち採食をする。魚類、昆虫なども捕食する。 
  • 生活環境・・・湖沼、水田など淡水域の水辺や湿地を好む。
  • 泳ぎながら水草や水生昆虫などを食べ、時々水に潜って水底の水草を採って食べたりもする。  
  • 繁殖期はツガイで縄張りを持つが、冬期は群れで生活するものが多い。
  • 繁殖期・・・ヨシ原や草むらの中に枯れ草を積み上げて皿状の巣を作る。5~10個の卵を産む。♂♀交代で抱卵する。
  • 孵化したヒナ・・・顔の前面が赤く、周りが黄色みを帯びていて、後の方程黒い綿羽に包まれている。
  • 飛び立つ時は、水面をかけるようにし、飛ぶと次列風切後縁の白線が見える。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)