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野鳥シリーズ96 ユリカモメ

  • 都鳥と呼ばれたユリカモメ(百合?、カモメ科)
     全体的に白っぽく、クチバシと脚が赤い小形カモメ類。ユーラシア大陸の温帯から亜寒帯で広く繁殖し、日本には冬鳥として北海道から南西諸島の海岸、干潟、河口、漁港などに多数が渡来する。また内陸部の河川にも生息する。日本の古典文学に登場する「都鳥」は、ミヤコドリ科のミヤコドリではなく、本種を指すとされている。
  • 冬羽の特徴・・・クチバシと脚が赤く、翼の上面は淡い青灰色で初列風切先端が黒い。目先と耳後方に黒い斑がある。雌雄同色。 
  • 夏羽の特徴・・・頭が頭巾をかぶったように焦げ茶色になる。一見スグロカモメに似るが、クチバシが黒く、初列風切の先は黒色部が点状に切れる。 
  • 名前の由来・・・内陸部にも生息することから、「入江鷗(イリエカモメ)」が転じたと言われている。 
  • 都鳥・・・伊勢物語では、「白き鳥の嘴と脚と赤き、シギの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡しもりに問ひければ、これなむ都鳥。と言ふ」とあることから、「都鳥=ユリカモメ」と推定されている。
  • 伊勢物語に書いているとおり、以前は見られなかった京都にもユリカモメは飛来し、鴨川などでエサをついばんでいる。夜は琵琶湖で休んでいるという。
  • ・・・「ギィー、ギィー」「クワッー、クワッー」などと、少し濁った声で鳴く。 
  • 生活環境・・・越冬期には、海岸、漁港、河口などで数十羽から数百羽の群れが見られる。他のカモメよりも内陸に入り、川の中流~下流、湖、堀などでも見られる。河口から数十キロも川を遡ることがある。昼間は内陸部で生活していても、夕方になると川を下り、海面に浮かんで夜を過ごす。琵琶湖では、夜を過ごす群れがあることが知られている。 
  • 食性・・・魚類のほか甲虫類を捕食する。
  • 採餌法・・・アジサシ類のようにダイビングして魚を捕らえたり、水面に舞い降りて魚の死体をくわえとったり、半開きにしたクチバシを水面につけ、飛びながら前進して魚を追ったり、水面に浮かんでクチバシで流れてくる昆虫などをついばんだり、水草や泥の中で足踏みして小動物を追い出したり、色々な採餌法を見せる。 
  • 海で採餌後、内陸部の川や湖などにやってきて、水浴びをして塩を落とす。
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)  
  • 「身近な鳥のふしぎ」(細川博昭、ソフトバンククリエイティブ)