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野鳥シリーズ97 ハチクマ

  • ハチが大好きなハチクマ(蜂角鷹、ワシタカ科)
     飛翔中、頭部がペン先のように細長く突出し、翼が非常に長いタカ類。夏鳥として九州以北に渡来し、平地林から山地林に生息する。その名のとおりハチを好むが、鳥類、は虫類、両生類なども捕食する。秋には大規模な渡りが見られ、国内を縦断し、長崎県福江島を飛び立ち、東シナ海を渡り、大陸を南下して東南アジア方面に渡る。 
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • ♂の特徴・・・顔が灰色で、虹彩は黒い。尾羽には2本の太い帯状斑がある。 
  • ♀の特徴・・・虹彩は黄色で、尾羽に数本の細い帯状斑がある。 
  • 名前の由来・・・ハチを好んで食べ、クマタカに似ていることから。 
  • ・・・繁殖期、巣の近くで「ピィヨー」と大きな声を出す。繁殖期が終わった9月頃、上空を飛翔しながら「ピィヨ、ピィヨー」と鳴き交わしたりする。 
  • 生活環境・・・平地から山地の林に棲み、ハチの幼虫やサナギを好んで食べるほか、カエルやヘビも捕る。地中にあるクロスズメバチなどの巣を見つけるのが特技で、持ち前の丈夫な脚で掘り起こす。 
  • ハチに刺されても大丈夫な秘密・・・頭の羽毛がウロコ状になっていることや、脚のウロコも厚い。さらにハチの毒に対する免疫を持っていると言われている。 
  • 稀に低空飛翔をする。 
  • ディスプレー飛翔・・・繁殖初期、両翼を上へ伸ばしたバンザイの格好で急降下するという求愛ディスプレイが見られる。この時、翼をわざと打ち鳴らしてポンポンと音を立てる。この行動が見られれば、近くで繁殖する確率が高いという。 
  • 繁殖・・・低山帯の大木の枝に枯れ枝を積み重ねて皿形の巣を作り、6月頃、2卵を産む。抱卵日数約30日、巣立ち日数約40日。ヒナに運んでくるエサの8割は、ハチの幼虫やサナギだという。栄養満点で、人間でも美味しい昆虫食として今でも食べられているだけに、それに特化して子育てする鳥に進化したハチクマには脱帽である。 
  • タカ柱・・・秋の渡り期には、サシバとともにタカ柱をつくる。上昇気流をうまくとらえて、旋回しながら昇っていく。そしてある程度の高さに達すると、目的の方角へ流れるように飛んでいく。 
  • 長野県白樺峠のタカ柱・・・渡り始めるのは9月中旬頃から。サシバ、ハチクマが飛び始め、多い時には1000羽/日を超える大集団になるという。白樺峠では、11月中旬頃まで見られ、15種ものタカがみられるという。 
参 考 文 献
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
  • 「ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑」(石田光史、ナツメ社)
  • 「日本野鳥歳時記」(大橋弘一、ナツメ社)  
  • 写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記